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白を基調としたシンプルな部屋のソファーに腰掛け、膝の上に置いたノートパソコンを見つめる。


優の左右にはいくつもの書類が広がっている。





シャワーを浴びて濡れた髪をタオルで拭きつつ操作する。

これまでの日本での調査データをまとめていた。





多忙で未だ連絡のつかない承太郎へ、後にスムーズな報告をするためだ。



今日はいつも以上に集中できている。書式や内容に悩んで手が止まることもあるのに・・・。

軽やかで滑らかに動く手は、優の心のありようを示しているようだった。






そう、理由は今日の出来事。


「楽しかったなぁ・・・」


明美とのお出かけを思い出して笑みがこぼれる。

明美の妹へのプレゼントを購入後も服や靴なども見てまわり、晩ご飯も一緒した。



ひとと過ごす、なんてことのない時間が此れほど楽しいものなのだと、今更に思う。
まともな人間関係など異質な自分には築けない、と優はどこか諦めていた。


だからこそ、今日の出来事は胸を躍らせるのに充分だった。

優は再度笑みを溢しながら、キーを打ち込む。




「・・・これでよし、」

コナンと蘭についての報告はまとめ終えた。



当人の言う正体や関係している組織の存在・・・

コナンについてまだ明らかになっていないことも再確認したことだし寝よう、と片付けをはじめ、




ふと、書類とともに置いていた写真を手にする。

それは、コナンと蘭の写るもの。優が日本に来る契機になった写真であった。




ジョセフに渡された二枚の写真によって、優は今この場にいるのだ。

コナンという不可思議な存在に思いのほか手こずってしまい、もう一枚については全くの手付かずであったが。



はて、もう一枚の人物はどんなターゲットだっただろうか・・・。正直記憶も怪しくなっていた。

優は、止めていたクリップを外し、重なって見えていなかったもう一枚の写真を確認した。



「・・・・・・うそ、」


今なら、その写真に写る人物が誰だか分かる。
偶然出会い、連絡先を交換し出掛けるほどに仲良くなれた相手なのだから。



写真の中の女性は誰に笑いかけているのか、こちらに視線は向けられていないが笑顔を浮かべていることは分かる。

あぁ・・・あの時の既視感はこれだったのだ。



「私、ばかだ・・・」


写真が手からすべり落ちた。優の気分も失墜した。


明かりのついた空間に居るはずなのに、暗い。
写真の人物について分かったことがあるというのに、心は晴れることは無く

むしろどうしようもない不安と焦燥、深淵に放り込まれたかのような感覚に陥るのだった。





「・・・っ、」



きつく目を閉じて、視界を黒にする。
湯冷めしたのか肌寒さを感じ、優は腕をさする。


目を閉じれば、その分他の感覚が冴えて

風に舞ったカーテンの微かな音だけが嫌に耳に残った。
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