05
一枚の写真に写る、女子高生と小学生。
名前は、毛利蘭と江戸川コナン。
彼らはスタンド使いではなく、一般人。
ここまでは分かったけれど、それならば写真に念写される理由はなんなのか。優はこの点に頭を悩ませていた。
杜王町の時のように、写真に写ったものが何かの出来事の重要な鍵となる可能性もある。
二人はおそらくそれに該当するのだろう。
二人の周囲できっと何かが起こる。いや、既に起きているのかもしれない。
優はかつて、杜王町にて仗助の周囲で起きた事件を回顧する。
仗助は大事な祖父を失った。
彼は祖父の代わりに町を守ることを誓ったが、自分のせいで亡くなった事を悔いていないわけではない。
むしろ、誰よりも優しい彼は、誰よりも自身を責めていた。
それは幼い頃から知り合いであった優が声をかける事を躊躇うぐらいには・・・。
ポアロで出会った蘭とコナンが曇りのない純真な瞳をしていたのを優は思い出す。
そんな二人に自分のせいで誰かがなくなるような悲しみを背負わせたくないと、なんとなく庇護欲を抱いた。
杜王町では、主に仗助が巻き込みたくないと優を遠ざけていたために、優がおきたトラブルや事件を知ったのはだいたい収束した後だった。
それゆえに、スタンドを使って誰かを守った経験は優にはほぼなかった。
優は今回のことはスタンド能力によって人を守る機会を与えられたのでは、と感じていた。
一般の人には見えないこの能力には、悩まされ続けてはいても
本当に役に立って、能力に感謝したことはあまりなかったからこそ、
優はSPW財団に所属しスタンド使いとして役に立てる環境を求めていたのだ。
スタンド使いとして生まれた意味を見つけたい、改めてそう思った優は、
ちょくちょくポアロに通い、蘭やコナンらと接触する機会を作りつつ二人の周囲に目を配った。
しかし、たいした進展はなかった。
そんな時、優の携帯に一本の連絡が入った。
「はい、もしもし。」
『あ、もしもし優さん?おひさしぶりです、僕です広瀬康一です。』
優が三年前に日本を離れ、アメリカで過ごしている際も連絡を取っていた友人の一人である。
まぁ、いきなり音信普通になったが・・・。
「お久しぶり、康一君。突然連絡着かなくなってちょっと心配しちゃった、」
『すみません。いつもの流れだったんですけど、まさか携帯へし折られると思わなくって。』
まぁ、あれだ。由花子は人一倍やきもち焼きな訳で、優と康一の友人関係を事あるごとに疑っている。
由花子いわく、「男女の友情は成立しない」のだそう。
そのときは承太郎から康一への依頼を、優が代理で連絡していただけだったが、その頻度がまずかったのかもしれない。
由花子の康一に対する行き過ぎた想いゆえの言動には優はもう驚かない。
杜王町で一緒に過ごしたこともあり、もはや始めてでもない。
連絡が途絶えたとき優はなんとなく察した。
しかし康一が五体満足に生きているかはやはり心配になって、
優がそれとなく仗助に確認をとったのはそれほど昔のことではない。
「気にしないで。私より、由花子ちゃんの方を気遣ってあげて。
それが康一君にとっても最善だろうし。」
『ですね。』ははは、というなんともいえない笑いを電話越しに聞く。
由花子の康一への愛は海よりも深く、山よりも高い確率でバイオレンスと化すのはもはや自明の理となってしまった。
「それで、なにかあった・・・?」
『そうでした。本題なんですが、露伴先生から美術館のチケットを貰ったので由花子さんと行こうと思うんですが、行き先の地理が不安で…。』
「私に電話ってことは、こっちの美術館なのね。」
『はい、米花美術館っていうんですけど…ご存知ですか?』
「えぇ、知ってる。今中世美術展を開催してるって聞いたわ。」
宮城県の杜王町から東京の米花町は距離があるけれど、大学生の、
それも恋人同士のデートならそれだけ一緒に居られる時間も長いわけだし良い事よね、
優はバイオレンスさえなければお似合いなのに・・・と苦笑する。
『アクセスについて教えていただけますか?ちゃんと着くかちょっと不安で…』
そう言う康一に優はある案を伝えた。
------------------------------------------
「久しぶり、由花子ちゃん、康一君」
優は新幹線によってこちらにやってきた二人を出迎える。
「お久しぶりです、優さん!」「・・・ふんっ」
嬉しそうな顔を向けてくれる康一と、反対につまらなそうな表情で顔をそらす由花子。
彼女の優しさが康一限定なのはもう知っての通りなので気にせず、優は話を進める。
「よーっし、それじゃあ、東都観光レッツゴー!」
彼等がせっかく米花町に来るなら会いたいと思った優。
ということで、レンタカーを使用し二人に米花町を案内することにした。
SPW財団の仕事が根詰まっていたこともあり、優はいっそ何も考えずに気分転換をようとしていたところだった。
頭ををリセットして考え直すにはいい機会だ。
承太郎も頼りにする康一なら、なにかいい意見を出してくれそうだ、という他力本願も少しあるのはまぁ否めないけれど・・・。
まずは由花子の機嫌をとらないことには、康一に今回の相談もできなそうだ。
車内後部座席では優をまったく気にせず康一にくっつく由花子と恥ずかしがって距離をとろうとする康一、
その対応に怒りを見せてスタンドを康一に巻きつけて強制的にくっつく由花子とじたばた暴れる康一。
バックミラーごしに優は愉快なカップルを目にする。
高校生から大学生へとなった二人は、変わったようで、二人の関係も、やり取りも、
優がアメリカに行った3年前と変わらず、どこかホッとしたのだった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
- 6 -
prev■next
Timeless