一緒に寝よう?





「さて、問題があります」
「なんだ」
「寝るところがないんですよ、大包平さんの」
「俺の」
「あなたの」
「……布団を譲れ」
「嫌ですよ!」
「冗談だ」








魂魄って生活はどうなるんですか?という私の問いかけに対して大包平が答えたのは、お前くらいにしか見えないだけで人と然程変わらん、というものだった。


腹が減れば食べるし、眠くなれば寝る。


えっ待って待って、食べるって何を?という質問の答えは、私の霊力だった。私は彼の姿が見えている時点で比較的大きな霊力を持っているのは確定らしく、何か可笑しな事を言ったか?という彼の当たり前だというような態度で言われたら、もう反論する気も失せるというもの。もういいもん。諦めたもん。問題はそこではないのだ。






さて、私は都内のワンルームで一人暮らしをしている。

高校生だろ、と思われるかも知れないが、私が高校に上がる時に両親から言われたのだ。一人暮らしも経験だ、と。大学生になってからでも、という私の言葉は華麗にスルーされた。母は高校時代に一人暮らしを、父は同じく下宿を実際に経験しているからかこちらが引くくらいに勧めてきて(勝手に話を進められて)、私は折れるしかなかったのだ。

折角寮のある学校だったというのに、何故寂しく一人暮らしなんかせにゃならんのだ。ずっとそう思っていた。でも、一人増えて思った。やっぱ一人が楽だわ。




そして目下の問題は、このワンルーム四畳という狭い部屋でこの大男の寝る場所が無いという事なのである。四畳半あればまた違ったのかも知れないが、あいにく四畳なのだから仕方がない。

それに私は、布団を一組しか持っていない。つまり、どうしようもないのだ。本当にただ幽霊のような感じなら気にすることもないのかもと思うけれど、私は彼に易く触れられてしまう。


何が言いたいかっていうと、物理的に狭くなる上に圧迫感を無視できないという状況で、しかも寝る場所を二つも用意できないんだよってこと。つまり、同じ布団で寝るしかないよねって。そして冒頭の会話である。