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「たっのもーーー!!インパ様に報告しに行ってきたよォ!!!あれ、プルアは?」
『...プルアは?じゃなく、プルアさんは?の方が適切かと』
「細かいことは気にしない!...あの、君どちら様?」
『あなたこそどちら様でしょうか?人の名を聞く前にまず自分の名を名乗る。当然の礼儀でしょ?』
「ムッカチーン!!」
「コラコラ、知らない人に喧嘩腰はダメだヨ。ほい、笑顔でご挨拶!ナマエ、チェッキー!」
『...はぁ。チェッキー』
「はい、よくできました!!お勤めご苦労様。リンク、紹介しておくね。この子ナマエっていうの。実はこの子も君と同じく100年眠ってたんだけど」
『100年前致命傷を受け、一被検体としてプルア所長が開発した回生の祠を真似た装置の中で眠りにつき、つい先日目が覚めたばかりです』
「アタシが設計したコールドスリープ式回復装置は見事成功!したと思ったんだけど...寝てる間に記憶が全部消えちゃったみたい。この子の家族は既に死んじゃってるし城は危険でしょ?身よりもないからアタシ達が面倒見てあげてるの」
「ふーん。傷は治ったの?」
『完治はしていません。この通り左足は厄災の呪いが巣食いいつ呑み込まれるか。ですから自我があるまでは研究所を手伝いその後は命を絶つつもりです。プルア所長の研究にも貢献できたことですし』
「っと、見ての通り生真面目頑固娘なわけよ。せっかく目が覚めたんだし外に出たら?って言うんだけど『自分はプルア所長に恩返しする義務がありますから』って。ほんっと昔から何ひとつ性格が変わらないのねあの子」
「プルアも大変そうだね。ところで俺の話なんだけど、シーカーストーンの機能パワーアップしてくれるってホント??」
「もっちろん!古代素材を持ってきてくれたらちょちょっとパワーアップしてあげるんだけど〜アタシのおねがいを聞いてくれた持ってくる素材の数半分にしてあげてもいいヨ」
「よし、のった!んで、そのお願いって言うのは?」
「さっすがリンク話が早い!実はねとある噂を小耳に挟んだんだよ。なんでも怪我をした旅人が聖なる泉で清めたらたちまち怪我が治ったとか。そこでアタシからお願いなんだけど、ナマエを聖なる泉に連れて行って左足の穢れを癒してくれない?」
「えー、なんか面倒くさそうなんだけど。それにあの子口五月蝿そうだし」
『なんですって?所長、勝手に私のことを決めないでください。あくまで噂の話。聖なる泉も言い伝えで信じる人なんていません』
「それは見たことない人が多いからだヨ。ここでじっとしてるよりナマエも外を見に行ったらどう?ついでに泉の効果も調べてきてよ」
『...所長がいうなら』
「はい、決まり!ということでナマエは直ぐに旅の支度!!!リンク、ナマエの事よろしくね。あの子君以上に記憶もないし世間知らずで生真面目な上に意地っ張りだけど悪い子じゃないから」
「はぁ...分かったよ。約束守ってよね」
「分かってる分かってる!あ、これ餞別。君と違ってあの子剣の握り方も忘れちゃってるからくれぐれも危険な場所に連れていかないように!!」
『所長、つかぬ事を聞きますが、旅の支度とは一体何をすれば?』
「こんな感じの子だから宜しくね」

目が覚めてから食事や着替えなどは覚えたけれど買い物やお金の使い方は全く分からないからリンクが目を離した隙に悪い商売人に掴まれすぐ騙されそうになる。「勝手に離れないでくれる!?」とリンクは若干イラついているが研究所から出たのは初めてで、沢山の人や物に興味津々にキョロキョロしているうちにすぐリンクとはぐれるナマエ。「リンク、あれは、あれはなんですか!?」と大きな風車に口を開けてびっくりしてる。
可愛い顔してるからよく知らない人に声をかけられるためリンクの心労は計り知れない。
100年も経てば人は変わる(出会い)
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