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『お疲れ様勇者くん。怪我もそれほどないみたいで安心したよ』
「あんた、誰だ?あの骸骨野郎の仲間か?」
『仲間“では”ないよ。私の名前はナマエ。フィローネの森に住むただの話者。何かと危険な目に遭わされ余裕がないであろう勇者くんの為に面白い話とせっかくだし1曲披露してあげようとやってきたわけなんだよ』
「(おい、こいつヤバいやつなんじゃないのか?森に住んでるって、この物騒な森にか??武器も持ってないようだし、変に絡まれる前にとっとと神殿の中入ろうぜ)」
『私を無視するとはいい度胸だね。まぁ、別に傷つかないけど。でもほら、1曲聞く時間はあるよね?さぁ、そこに座った座った!』
「えぇ。んー、仕方がないなぁ」
『感動して涙流さないでね。それじゃあ眠らずに聞いてね。昔古の勇者が奏でたと言われる曲“森のボレロ”を』

オカリナを吹く謎の子。ダンジョンの入口に佇みその地にまつわる曲を弾いたり人々に忘れられた『時を渡る少年と妖精の話』を語る。まるで傍で見てきたかのような語り口にトワリンらは薄らと『この子まさか当事者?』と疑っているが証拠がないため断定できない。少女はオカリナを奏で昔話の一遍を語り追えると風のように消えていく。自分のことを語ろうとしないが誰かを待っているような口ぶり。
ダンジョン入口に佇む謎の女の子
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