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『私そんなにお金持ってるように見える?』
「なんだ?悪い男にでも引っかかりそうになったか?」
『そういうのじゃなくて。宗教勧誘?マルチ商法?よく分からないけれど、街で歩いてたら知らない人に話しかけられることが最近多いんだよね。しかも話しかける人みんな私の名前を知ってるの。もしかして私の知らないところで個人情報が流失してるんじゃないかって推測してるんだけど、クロードはどう思う?』
「話しかける奴らに心当たりは無いのか?子どもの頃に遊んだとか、一緒の学校だったとか、案外親戚だったりしてな」
『多分それはないと思うよ。私が通ってた学校は生徒数少なかったから知らない顔はいなかったし、それにみんな顔がいい。一度会ったら忘れるわけが無いね』
「ふーん。で、その話しかけてくる奴らの要件はなんなんだ?金か?それとも出会い系…悪い。今の言葉は無しにしてくれ」
『シバくよクロード。今のところ何か買ってくれ!とかそういうのはないけど一方的に自分のことを知られているのってちょっと気持ち悪いというか。仮説なんだけど、私に話しかけてくる人達は多分皆繋がってると思うの。だって話しかけてくる人みーんな ‘ナマエ、久しぶり!またこうして会えるとは思わなかったよ。今時間ある?良かったらそこのお店に入って少し話さない??’って言うんだよ!?ついて行ったら絶対高い壺買わされるんだ。買うまで家に返してくれないんだ…』
「じゃあ今んとこはついて行ってないのか」
『当たり前だよ。私貧乏大学生だよ!?バイト何個掛け持ちしてると思ってるの!!?』
「まあ落ち着けって。話を聞く限りそいつらに危害を加えられた訳じゃないんだろ?放っておけば時間が解決してくれそうな話だが…仕方がない。友人として俺が一肌脱いでやるよ」
『ほんと!?』
「ただし、貸1だからな。あと、あんまし俺に期待しないでくれよ?俺は彼奴らにあまり好かれてなかったからなぁ〜」
『…ちょっと待った。まさかとは思うけど、もしかしてクロードの知り合い?』
「いんや。今は赤の他人、まっ、昔世話になったくらいの仲だな。あんまし勘ぐるなって。いつかナマエも思い出せばわかる話だから」
『…たまに意味深なことを言うよねクロードって。出会った時から思ってたんだけど、クロードって一体何者なの?』
「大陸の壁を壊した盟主でアンタの元旦那」
『ふふっ、ご冗談を』
魂は廻る
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