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<黄色のマントが飛んできた>の続きみたいなもの

『(最近働き詰めみたいだったしできる妻だと思われたい一心で無許可で部屋を片付けていたらまさかこんな所で思い出の品と遭遇するとは。できる妻なら埃を叩いて洋服箪笥に戻すのが満点解答だけど…好奇心に勝るものってないよね!)5年が経って少しは私も成長したつもりだったんだけど、やっぱり肩がズレるなぁ…んんっ!…金鹿の学級ヒルシュクラッセを甘く見たか?はい、おつかれさん!なんちゃって…笑いたければ笑ってください。そこにいるのは分かってます』
「おっと気づかれてたか。笑うだなんてとんでもない。ただお楽しみ中のとこ邪魔するのは悪いと思ってちょいとばかし様子見を。なぁ、もしかしてそれ俺の真似か?」
『似てない?下手くそだった?』
「5年前の自分の真似されても本人が判断できるもんじゃないだろ。まっ、似てる似てないはどうあれ制服は似合ってるんじゃないか?肩幅は大分ズレてるけど」
『そうだね。今も昔もクロードは私よりも大きいってことかな。そういえば昔級長の外套が羨ましくて特別に一日貸してくれたよね。級長の仕事付きで』
「うっ、その事に関してはもう時効だろう!?あの頃の俺はやりたいことが色々あってとにかく時間が欲しかったというか…ナマエ、お前まさかまだあの時のこと根に持ってるのか!?」
『もしそうだとしたら遠い異国の地で貴方と結婚なんてしていません。それにクロードが忙しいことはレオニーやヒルダから聞いていたことだし、実際に級長の仕事を体験して上に立つ人は大変なんだなぁってクロードの器用さが身に染みた経験だったよ。まぁ、制服を脱いだところで今も王様は忙しくしてるみたいだけど。頑張ることもいい事だけど頑張りすぎるのは良くないよ。少し休んだらどう?そのくらいはきっと皆も許してくれるよ』
「返す言葉も無いな。ナマエも部屋を片付けて疲れただろ?付き合ってくれてもいいんだぜ」
『いや、私はまだやることが残ってるからっ…クロード放して』
「釣れないこと言うなよ。仕事もあらかた片付いたところだ。たまには俺の我儘に付き合ってくれても…ナマエ、それ脱がしてもいいか?」
『えっなんで!?着たばっかりなのに。それにクロード似合うって言ってくれたじゃない…あれは嘘だったの?』
「似合ってるって言葉は本当だぜ?ただその格好で抱きしめるとナマエを抱きしめてるって言うよりも自分自身を抱きしめているように思えてなんだか…あっ、コラ!逃げるなって!ナマエ!!」
黄色の制服を見つけた
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