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「突然だがここにディミトリが三人いると仮定する」
『先生の問いかけが急すぎる上に斜め上な質問で頭が混乱しているのですが…陛下が三人ってどういう状況ですかそれ。先生はドゥドゥーを過労死させる気なんですか?』
「まぁ、細かいことは気にするな。それでだ、三人のディミトリの内一人は親鳥の跡をついてまわる可愛いを全面的に押し出した好きな子に短剣渡しちゃう系ディミトリ」
『渡しちゃう系陛下…』
「もう一人は士官学校時代の騎士道を体現した初心で堅物な猪系王子様と見せかけてたまに見せる闇深さは軽々しく触れることが出来ない、お前の前髪どうなってんだ?復讐心に囚われてる系ディミトリ」
『先生、陛下に怒られても知りませんよ?』
「そして最後は復讐と殺意に心も体も支配され仲間はおろか先生にまで伝家の宝刀“失せろ”で突き放す猪突猛進四肢もぎ首へし系野獣ディミトリ。この三人のディミトリの中から好みの一人を選べと言われたらお前はどのディミトリを選ぶ?」
『三人のうち一人を選べと言われても…既に私には執務に追われて机にかじりつく系陛下がいますし、陛下一人でも幸せなのにもう一人増えたら幸せの過剰摂取で死んでしまいます。ですから残念ですけど私は誰も選ばないと思います。私には“今”の陛下が一番ですから』
「そうか…ディミトリが聞いたら喜びそうだな。実はディミトリがナマエをどう抱いたらいいか分からないと悩んでいてな、それなら本人にそれとなく濁して聞いたらいいんじゃないかって話したら自分からじゃ言い出しにくいから代わりに先生がさりげなく聞いてはくれないかと頼まれていたんだ。なるほど、ディミトリにおまかせってことか。了解だ。ディミトリに伝えて『どんな陛下も好きですし今の陛下のことは心から愛していますけれど、そういう類の話は例え先生でも話すべきではないという事とできるだけ優しく短期戦で抱いて欲しいということを陛下に伝えてください(怒)!!』」
ここにディミトリが三人いたとして
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