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エルの子供だけが見える亡霊。士官学校で噂される亡霊の話を聞きながら多分この人だよねと思い後ろを見ると噂の亡霊が立っている。物心ついた時からナマエの傍には亡霊がいてエルに相談しようにも大陸統治や闇に蠢くものの討伐で忙しいため迷惑をかけてはいけないだろうと亡霊のことは話さずに生きてきた。
教科書に書かれたタルティーン平原で討ち取られた大将の名と肖像画にナマエは亡霊の顔とそっくりだと試しに名前を呼んでみるとぴくりと反応は示すがそれ以上の反応は見せない。
亡霊はナマエを呪い殺すわけでもその手に握る禍々しい槍で首を跳ねる訳でもなく、幼い頃からずっと自分を見つめながらボソボソと言葉を発しているだけ。なんて言ってるかは聞き取れないがたまに耳に引っかかる母の愛称に母の知り合いなんだろうなぁとだけ理解してる。
亡霊は3人いて、幼子、少年、青年の3人。3人とも現れるタイミングはバラバラだが一貫して3人が同時に現れることはなく必ず1人で現れる。また同じ名前を名乗り雰囲気はそれぞれ違うとも似た顔つきから同一人物であり主を『エル』と呼んでくる。1度も主の名を呼ばれたことは無いがなにか事情があるのだろうとはじめこそは人違いだと否定する主だがだんだん気にすることさえ面倒になる。どうして自分にしか見えないか分からないが、一つ分かることは3人とも母へ思うことは違うけれど執着心は因縁よりも深く強いもので娘である自分から『エル』の面影を見ていること。いつまで彼らが自分の人生に割り込んでくるかは知らないが、3人のうち2人は話が通じるし何かと手伝ってくれるから気にしていない。
たまに命に関わるような危ない目に遭わされかけるが、命を救われることもあるので悪霊なのか守護霊なのか吟味中。
エルの子供と3人の亡霊
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