4


青く広がる空と、青く広がるピッチは
私にはあまりに眩し過ぎたから、
私は部屋に籠った。
 
 
理不尽な理由で私たちは異物扱いされている。
サリューの言うように、
私たちが上に立つべきだという主張も間違いではないと思う。
だけど私には外の世界は大きく、眩しい。
目が眩んでしまう。
「ミライ」
名前を呼ばれてドアの方を向く。
今日は会議も集まりもない筈だし、
サリューたちは今、破壊活動しに向かっている筈だ。
生憎私は非常に視力が悪く、
人の姿こそ確認できたものの、
誰か、まで認識できない。
「ミライはSARUたちと行かないの?」
少しずつ歩み寄る姿と声でやっと誰かわかった。
「そういうフェイはいいの?」
「僕はこの先動かなきゃいけなくなるから…。」
「そう。」
昔…といえどおよそ1年前だが、
破壊活動を始めた頃は、
フェイもサリューと一緒に中心に立っていたのに、
私の知らぬ間に変わってしまったようだ。
「ミライ、は…」
「…私はフェーダに賛同はするけれど、参加はしない。
多分今のフェイと同じ、助言をするくらい。
参謀役なの。」
と言っても、
それすら殆ど行っていないのだけど。
「ミライはいつもその席だよね」
突然話が変わって一瞬何のことだか分からなかったが、
落ち着いて考えれば言葉通りだと分かった。
「普通同じ席でしょう?フェイだっていつもギリスとデッキの間じゃない。」
「そういうことじゃなくて、」
そこまで言葉を発して閉ざされた口に私ははてなを浮かべる。
会話が途切れてしまい、私が振れる話題もないため、
窓のそとを見つめてみた。
やはりいつ見てもセントエルダの街は青い。
「ミライが思うほど外は広くないよ」
小さく呟かれた声は、私にしっかりと届いた。
「考えておく」
きっとフェイが言ったのは、
外にでるべきだ、ということだろうから、
私はそう短く答えた。
私が外に出るのもそう遠くない話になりそうだ、と思った。
きっとフェイが連れ出してくれる、と。
その時の私は、そう切望した。

- 4 -

prev | next


page:
/32


back
top