真実


「あれ、弓弦一人なんて珍しい。桃李くんは?」
「坊っちゃまはテニス部の方に顔を出しに行っております。凛華さまこそ、お一人で生徒会室にいらっしゃるのは珍しいのではないですか?」
「そだね〜。仕事なきゃ来ないし、大抵敬人か仕事大好きなサリ〜がいるしね。」
「ふふっ……。衣更さまは喜んで仕事を引き受けてますよね。」


*


「それはそうと、凛華さまは普通科からの転科生でしたよね。」
「え、何今更。」
「先日の定期試験の結果がとても良かった、と耳にいたしました。」
「へぇ。」
「アイドル科のテストで、転科したての貴女が上位に入っていらっしゃるのですから、随分勉強されたのでしょう?」
「……弓弦ってもしかして」

「お疲れ〜。」

「お疲れ様です、衣更さま。……凛華さま、話の続きはまたに致しましょう。」
「そうだね。……お疲れサリ〜、お先に失礼するね。弓弦、敬人が来たら書類はやっといたって伝えてくれる?」
「ええ、勿論です。お疲れ様でした。」


*


「昨日弓弦と何の話してたんだ?」
「え?あぁ、この間のテストの話だよ。」
「そうだ、お前トップ争いしてたんだよな?スゲ〜な。」
「ありがと。」
「(あんま嬉しそうじゃないな……?)」


*


「普通科トップの成績にして、普通科の代表であった貴女が、いくら成績優良者の条件付きの転科であっても容易にアイドル科に移れるわけがない。そうですよね?」
「この学院が生徒会に支配されてたのは知ってるでしょ?事はアイドル科だけで起きていたわけではないってこと。直接の影響がなくても、普通科の子たちはみんな異変には気付いていたよ。」
「それはつまり……。」
「私は普通科のみんなに望まれてアイドル科に乗り込んだことになっているけれどそんな訳ないよね。英智の望みでもあったし、学院に指示されては私には頷く他なかったよ。」
「ほう……。(アイドル科で革命が起きたように、普通科の英雄である彼女を奪還、なんてことも起こり得るのでしょうか……?)」


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