相合傘


「先輩馬鹿なんですか。」
「……いきなりなんなの。」
「はい、傘貸しますから使ってください。売れっ子の先輩が傘もささず濡れて帰るのを見逃したら誰に何言われるか。」
「……ゆうちゃんも売れっ子でしょう?」
「昔の話です。」
「最近はプロデューサーの仕事も引っ張りだこなんでしょ?そんなゆうちゃんから傘借りる方が誰に何言われるか分かったもんじゃない。」
「そんなものですか。」
「っていうか、ゆうちゃん。」
「はい?……っ!?」
「やっぱり。熱あるよねぇ?」
「え?」
「さっきまで室内にいたゆうちゃんがそんなに顔真っ赤っておかしいもんねぇ。……帰るよ。」
「えっ、あの、fineのプロデュースが……。」
「fine?天祥院のとこでしょ?あいつに風邪うつす方問題じゃないの?」
「……それもそうですけど。」


*


「えっと、コーヒー淹れますね。」
「そういうのいいからさっさと休みなよ。」
「え、寝ればいいんですか?」
「あぁもう、いいから寝る!おいで。」
「あ、はい。」

「(熱のせいで自分の行動がおかしいって、ゆうちゃん分かってないよね。……まぁ、おかしいのは俺もだけどねぇ。)」


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