撮影


「はぁ?なにそれ、ホンキで言ってんの?いきなりそんなこと言われたってねぇ……。」

「せっちゃん荒れてるね〜?」
「そうだね。しかし凛月くん、そろそろ重いからよけてくれないかな。私の腹が死ぬ。」
「え〜?」
「チョ〜うざぁい。」
「瀬名先輩どうしたんですか?さっきの電話。」
「……ゆうちゃんちょっと立ってくれない?」
「凛月くんを寄せてくれるなら。」
「くまくんちょっとあっちで寝ててね〜。」
「せっちゃんが寝てろとか不気味〜。仕方ないからよけてあげるけど〜。」
「で?何ですか?」
「身長いくつ?」
「167。」
「元モデルだよね?」
「キッズモデルね。」
「明日放課後予定空けといてね〜。それじゃ、俺は仕事あるから〜。」
「え?ちょっ、瀬名先輩!?」


*


「瀬名先輩、私をパートナーに使うとか正気ですか。」
「別にいいよねぇ?だってゆうちゃんはアイドル科の生徒なんだから。」
「だからバラしたくなかったんだ……。」
「いいからほら、そろそろスタジオ入りしないと俺が怒られるんだけど?」
「ってか、本当に大丈夫なんですか?」
「何が?」
「私がパートナーなこと以外に何があるんですか。」
「……ゆうちゃんは俺が自分の不利になることすると思う?」
「ないです。」
「それって十分な理由じゃない?」
「……。」


*


「泉くん!あんな美人どこで捕まえてきたのよ!」
「え〜?秘密です。」
「じゃあ名前は?名前。」
「ゆうちゃん」
「へぇ、ゆうちゃんか〜彼女とか?」
「だったらいいんですけどねぇ。」

「(瀬名先輩、撮影スタッフに何吹き込んでんだ。私が結城凛華であることを隠そうとしてくれてるんだろうけど……。今の会話って瀬名先輩にとって不利じゃないの?)」


*


「瀬名先輩。」
「なぁに。」
「瀬名先輩って美人ですよね。」
「そりゃあモデルだしねぇ。」
「そんな美しい顔を間近で見て不覚にもドキドキしてます。どうしてくれるんですか。」
「……もっとドキドキしてればいーんじゃない?」
「(あまりにも先輩に密着し過ぎておかしくなりそうだ。)」
「(美しいのはゆうちゃんもなんだけどなぁ。)」

「(この鼓動の速さはどっちの……?)」


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