王子様の勘違い
「あの、堀くんちょっといい?」
放課後、授業が終わってすぐに堀くんに声をかけた。堀くんが部活に行ってしまったら話せなくなるからタイミングは今しかないのだ。
「瀬名?どうした?」
「野崎から聞いたんだけどさ。」
「あ。」
「え?」
「悪い、ちょっとだけ待っててくれるか?」
「う、うん。」
堀くんは廊下に何か見つけた様で、すぐさま駆けて行った。そしてスグそこで物凄い音がした。ええ…と困惑気味に廊下を覗いてみれば、顔の綺麗な女の子が廊下に転がっていた。
そしてその子の首の後ろあたりの襟を掴んで堀くんは私の前に戻ってきた。
「その子大丈夫なの…?」
「大丈夫だろ、いつものことだからな。」
「そう、なんだ。」
「そうだ、瀬名に背景指導頼みたいんだが、頼めるか?」
「うん、野崎からその話聞いてて、いつ部活休みかなって。 」
「そうだな、今度の木曜とか空いてるか?」
こちらから話題を出す前に言ってくれて助かった。
「堀ちゃん先輩がデートに誘ってる!?この人堀ちゃん先輩の彼女さんですか!?」
堀くんの手に居た彼女がいつの間に立ち上がって私にグイと顔を近づけて来た。おお、ホントにイケメンさんだ。
「…違うぞ。てか瀬名から離れろ。」
「堀くん、この子は?」
「鹿島遊です。先輩のお名前は?」
「瀬名美晴です。」
「なるほど、美晴先輩!」
私の名前を呼んで、私の両手をとって、私を引き寄せた。何でだよ、とツッコミを入れてもいいものだろうか。
「堀ちゃん先輩にお似合いのお姫様ですね。」
鹿島くんはいきなり後ろの堀くんを振り返ってそんな事を言う。鹿島くんにはさっきの堀くんの言葉が聞こえなかったのだろうか。それとも聞いていないのか。
とりあえず綺麗な顔が近過ぎて心臓に悪いから離れてくださいお願いします。
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