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面倒なことになっているようだ。
各地にはなっている小鳥からの報告を受けて、俺は頭を抱えた。
報告はアラバスタにいるスモーカー大佐の隊からだ。
スモーカー大佐とポートガス・D・エースが接触し、その後の行方は知れないと。
エースと会ったところで彼を止めることは出来ないだろうが、それでも一度話しておきたい相手だ。
アサギが守ろうとした男。
そして、俺達が守り抜く男。
「“ラーク中将”お呼びでしょうか」
「ああ……」
いつものように見聞色の覇気で周囲を見て、軽くため息をついた。
「小鳥のシラヌイからお聞きしています。スモーカーが“彼”と接触したと」
「彼に会いたかったが、戦争までお預けになるかもな。全く、スモーカーさんも面倒を起こしてくれるよ」
「そうですね。しかしこれからどこへ向かいます?アラバスタにはもういないかもしれませんよ」
「ああ、だが今から針路を変えるのも不自然だ。彼の動向がつかめない今、流れに沿うしかない」
「了解しました。皆にもそのように伝えます」
「頼むよ。……スモーカーさんは麦わらという海賊を追っているらしいが」
「ええ、“彼”が麦わらを庇ったとか。麦わらはご存知ですか?」
目の前の彼は今期異動になった者だ。
何度かの異動で、俺の隊に人を集めることになっている。
各中将の隊にも一定数仲間を置いて、戦争時に動きやすいようにする計画だ。
「いや、知っているのか?」
「以前は本部勤務ではなかったので少し」
そう言って男は東の海を話し始めた。
これは長くなるだろうかと苦笑した俺は、行儀は悪いだろうが俺のデスクに座れと指した。
仲間である俺達はそれほど階級を気にする必要はないと言っておいたからか、特に違和感なくデスクに座って饒舌に世界を広げて見せた。
この男の話は面白い。
敵対組織であるはずの海賊のことをここまで意気揚々と語る海兵がほかにいるだろうか。
「お前は不穏因子だな」
「えっ、マジですか」
笑いながら言った俺に、彼も調子を合わせておどけたように言った。
「それにしても……面白い奴だな」
「ちょっと脚色してますけどほぼ事実ですよ」
「やっぱりか」
「ちょっとですよ、ちょっと」
くすくすと笑う彼に、俺は頷いて人差し指を口にあてた。
見聞色の範囲に誰かが足を踏み入れた。
仕事に戻ろう。
今はまだ、海軍として。
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