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「あー……完全に出遅れた」
「そっすねー」
「情報じゃあ、七武海のサー・クロコダイルが麦わらに倒されたらしい」
「うへー、すごいっすね。あいつ何者なんでしょうね」
「さあな」

肩をすくめた。
そろそろ中将に戻るか。
彼に手を振ってはなれ、首に巻いた青いマフラーに触れた。

「中将、ここにいらっしゃいましたか。もうすぐ港に着艦出来ます」
「分かりました。あそこの軍艦はどこのものでしょうか」
「はい、今現在アラバスタにスモーカー大佐とヒナ大佐が上陸していると聞いていますので、おそらく両名の指揮下にある軍艦かと」
「そうですか。着艦準備お願いします」
「はっ」

副官は俺に敬礼をして足早に立ち去った。
そこかしこで着艦準備の指示が飛び交い始める。
俺は邪魔にならない船首の方へ向かい、二つの軍艦を眺めた。
大佐の持つ軍艦と中将の軍艦ではさすがに大きさが違うが、俺は基本的に一隻で動くため機動力で劣ったりはしない。

「着艦!」

錨を下ろす音が聞こえ、船が完全に停止した。

「おい、どこの野郎だ!今さらのこのこ来やがって!」
「やめなさいスモーカーくん!海軍本部中将の軍艦よ!」
「分かってる!だから言ってんだろうが!!」

俺は隣に来ていた副官と顔を見合わせた。
随分と歓迎されていないようだ。

「俺は海軍本部中将、アルディア・ラクハールです。あの、話しが見えないのですが」
「申し訳ありません、アルディア中将……私はヒナ、階級は大佐です。彼は……」
「ああ、存じています。ヒナ大佐、スモーカー大佐」

片手をあげて、ヒナ大佐に敬礼を下ろすように促した。

「俺達は航海パトロールでここへ寄ったのですが……一体なにが?街の方も随分と酷い様子ですね」
「はい、七武海、サー・クロコダイルを捕縛いたしましたので――」
「違う!クロコダイルは……麦わらが倒した」
「スモーカーくん!言ったでしょ、上の決定に従いなさい!」
「俺に何を言っても変わりませんよ」

俺はヒナ大佐をなだめるように言った。
スモーカー大佐の視線がこちらを睨んだ。
俺に何を言ったところで俺は特別、上と関係が濃いわけでもないから、スモーカー大佐のことを報告する理由もない。

「一先ず、全隊に補給と休憩の指示をお願いします」
「はっ、中将は……」
「俺は少しお話してきますよ」
「……お一人でですか」

声を潜めて言った副官の言葉に、思わず苦笑した。
まるで殴り合いに行くかのような言い草だ。
自分でもそのことに気付いたのか、気まずそうに咳払いをして大丈夫ですね、と念を押して立ち去った。
誰かを共につけてもらうとしても、俺はきっとその人より強い。
全隊が動き始めたのを見届けて、ヒナ大佐たちの軍艦に跳び移った。

「それで、なぜサー・クロコダイルが麦わらに?」
「さあな。そっちの理由は知らねェが、クロコダイルはアラバスタを崩壊させようとしていた」
「アルディア中将、政府の意向によって、クロコダイルの討伐ということになったのです。お聞きではありませんか?」
「……連絡は受け取っていませんね。麦わらだけですか」
「――……白ひげ海賊団の火拳がいた」
「火拳が……そうですか、ですがいま本部は彼らと事を構える気はありませんので、報告は上げずに置きましょう。よろしいですね?」
「はい」
「事を構える気が無いだと?何をぬるいことを言ってんだ」

スモーカー大佐を前に、俺は少し息を吐いた。
それを気取ったのか、彼の額に青筋が浮かぶ。

「白ひげは仲間を一人取られれば、全力で取りかえしに来ます。たった一人を逮捕するために何人もの犠牲を出すのは割に合わない。白ひげ海賊団を捕まえるつもりなら、貴方の首が一瞬で飛ぶほどの戦争が起きます」
「なんだと……?」
「ロギア系は、それだけで油断します。気をつけてください」

彼はまだ覇気を知らない。
いずれ起こる戦争に覇気を知らないまま参加することになれば、彼は果たして生き延びられるだろうか。
勿論、俺達が止めるつもりではあるが。

「アルディア中将、クロコダイルの護送をお願いできますでしょうか」
「はい、分かりました」

重罪人の護送は大佐三名以上、中将であれは一人以上となっている。
ヒナ大佐の言葉に頷き、スモーカー大佐を一瞥して地面に飛び降りた。

「サー・クロコダイルの身柄はこちらで引き取ります。船への護送を頼みます」

俺の姿を見て真っ先に敬礼した男にそう言って、周りに見えないように頷いた。
彼も仲間だ。
シラヌイで放ってある小鳥が彼の近くを飛んだ。
彼も口角をあげて見せる。

「了解しました、“ラーク中将”」



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