21
「ユイ、いいか?」
「えっ!だめ!まだお昼じゃん!」
神妙な顔で近づいてきたバッキーさんから逃げた。
昨日、というか今日の朝までやってたじゃん!!
流石に週一が限界だよ!
シャワーを浴びたばかりだからか髪がまだ少し濡れている。
私がプレゼントしたトリートメントを使っているからか、徐々に改善されてきた柔らかい癖毛を水滴が伝い落ちた。
それを目で追えば熱い夜を思い出してしまう。
こ、この色気おばけめ!!
「いや、違う、そういう意味じゃない。ちょっと話出来るか?」
「あ、ああ、うん、大丈夫だよ」
あ、あぶねー!
うっかりその気にさせられるところだった。
大きく息を吐いて、バッキーさんの隣に座る。
「話って?」
「キューブのことだ。いや、石と言った方が正確なんだろうが……」
バッキーさんの言葉に、なんとなく胃に手をあてる。
胃にあるわけではないが、石の存在は私の中に感じた。
物体としてというよりはエネルギーとして体内にある感覚に近い。
「お前は異世界人で、石を手に取った時、戻ったんだろう?」
「うん。6時間くらいかな」
「こちらでは数秒だった。ユイが青い、穴のようなものに吸い込まれたあと、数秒して後ろから現れた」
「そう、なんだ……」
じゃあ私が病院行って本庁戻ってお味噌汁飲んでる時も、こちらではほとんど時間の経過はなかったのだろう。
難しいことはよくわからないけれど、正直もう終わったことだしいいのではないかと思うが、バッキーさんはまだ何か気になる点でもあるのだろうか?
「またあれが起きることはないと言えるのか?」
ああ、そっか。
私は微笑んでバッキーさんにキスをした。
そりゃ心配になるよね。
でも大丈夫。
「ないよ。この石の力はコントロールできてる。ちゃんと閉じ込めていられるから大丈夫だよ。蓋さえ開けなければ、あんなことはもう起きない」
バッキーさんはそれでも不安そうに私にキスを返す。
「恋しくないのか」
「さよならしてきたから大丈夫」
私がホームシックで帰ってしまうことを恐れているのだろうか。
「もし向こうに帰りたくなったら、今度はバッキーさんも連れてくよ」
私がそういうと、バッキーさんはやっと安心したのか微かに微笑んだ。
儚さで言うなら私よりバッキーさんじゃないか。
ヒロインみたいな微笑み方しやがって。
私には作用の無効化があるからそうそう死なないけど、バッキーさんは、超人とはいえ人間の範疇だ。
「バッキーさんこそ、私を置いて死なないでね」
「分かってる」
私の額にキスをしたバッキーさんは、ニヤリと笑って私を抱き上げた。
う、わ、待って、待って!?
もしかして、そのつもりじゃ無いよね!?
「バッキーさん!?」
「期待させたからな」
「してない!マジで無理だから!」
「照れなくていい」
「話聞いて!?」