▽ 19


夜の闇の中で、私は満足に動かない体で何とか点滴を引き抜き、その針で大動脈を傷つけた。
死ぬことにはもう慣れた。
恐怖はすでに感じない。
ただ、虹が広がる感覚が、私の中に根付く感覚が死ぬたびに強くなっていく。
割れろ、割れろ、みんな死ね。
あんなに恐ろしかった虹の割れる瞬間を、今は待ち望んでいる。
大動脈から漏れる血は多少なりとも残ってしまう。
この夜で、何度死ねるだろうか。
今日、死に切らないと、奴らのせいで死ねなくなる。
虹が割れるまで、死ねるだろうか。
私が最後に見た虹は、今の私の虹より一回り近く大きい。
虹が傷を治した。
虹の漏れる光を隠すように、毛布に埋まり、再び針を首に突き立て、血を流す。
痛みなどどうでもいい。
それでも、血が抜けて冷えていくような終わりの感覚は少しだけ不快だった。
虹の光が、何度目か分からぬ傷を治す。
そして、虹が私の腹部で軋むような音を立てた。
ハッと下を見た。
ひどく重い体をなんとか動かして毛布を避け、虹を見る。
少しばかり大きくなってはいるが、もう音はしない。
でも、そろそろだろう。

「わ、れろ……」

もう隠すこともせず、針を首に突き立てる。
割れろ、死ね。
す、とまた意識が落ち、虹によって蘇る。
また、軋む音がした。
割れる、もう、割れる。
この世界に来て、初めて笑った。
嬉しい。
もう終われる。
もうすぐ、全てが壊れる。

「は、はは……!」


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