▽ 02
「キャプテン!嵐を抜けたよ!」
「何だったんだ……」
潜航する間も無く、突如として現れ消えた巨大な嵐に、能力を解除して甲板に座り込む。
どこから飛ばされてきたのか巨木やらなんやらをかわしながら船を守るのは流石に骨が折れた。
「うわあああん怖かったよー!!」
「流石キャプテン!」
「無駄口叩いてる暇があるなら船の損傷調べてこい。あの嵐だ、点検が終わるまで潜航は出来ねぇ」
「アイアイ!キャプテン!」
飛びついてくるクルーどもをひっぺがして、先ほどの嵐がまるで嘘のような晴天を見上げる。
この辺の落ち着いた気候にしては珍しい嵐だった。
「キャプテン……あれ、なんか、降って……ひ、ヒトだぁあああ!キャプテン!人が降ってくるよ!!」
「落ち着け!これ持ってろ!ROOM!」
俺にしがみついて空を指すベポに先程の嵐で飛んできた石を持たせ、再度能力を展開する。
まだ、遠い。
「受け止めろよ……!」
「アイアイ!」
「シャンブルズ!」
範囲内になったのを見計らい、人らしきその姿をベポの腕の中に転移させる。
その瞬間、吹き荒れるような強風にさらされた。
ベポの腕の中にいる女を中心に、嵐が巻き起こっている。
「ベポ!」
「う、うわあ!この子!凄い風!」
血まみれの女の腕からは羽衣のような白い何かが生えており、額やこめかみのあたりからはツノのようなものが生えている。
人間のそれではない。
「海に投げ捨てろ!」
「えええ!?い、いや流石にだめだよ!?」
「悪魔の実の能力者だ!意識無くやってんなら海に突き落として無理やり能力を解除させる!」
「そっ!そっかァ!!」
ベポが女を投げ捨てると、海流が渦を巻くように女を包み込んだ。
解除、されない?
いや、海の水を風が押し返しているのだろう。
海水を上からかけるが、女は人の形と龍のような形を行ったり来たりするように一瞬一瞬で形を変えているせいか海水で弱る様子はない。
能力が制御できていないのか?
「ミラ……ボレアス……!!」
意識があるのかないのか焦点の合わない赤い瞳で天空を睨みつけた龍は翼をはためかせ泳ぐように空へと舞い上がった。
「私の縄張りだ……!!」
ずいぶん元気なようだが、あれ以上は死ぬな。
空へと泳ぐたびに羽衣のようなヒレが細い腕へと戻ってゆく。
「ベポ、オペの準備だ」
「あ、アイアイキャプテン!」
上へ飛ぶ推進力も、嵐のような風の流れも先ほどよりずっと弱くなっている。
が、まだ動くか。
仕方がない、少々荒療治だが死ぬよりいいだろう。
シャンブルズで女を引き寄せ、ほぼ人間の体に戻った女に両手を向けた。
「カウンターショック!」
女の悲鳴が響いた。
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