Walk.43
「出所しました!!」
「オツトメご苦労様です!」
「どういうノリ?」
A組の寮に行くと、その場にいた女子たちが出迎えてくれた。
クールビューティー響香ちゃん!
今回一番熱いと聞いてますよ!!
ムショノリだよーと響香ちゃんの肩を抱いた。
「あら、一週間ほどかかるかと思っていたのですが、復帰が早くて良かったですわ!」
プリプリの百ちゃんに「うん、ちょっと頑張った」とへらりと笑う。
ぎゅ、と百ちゃんを正面から抱きしめて、大好きの心を渡す。
あわあわと、どうしたのかと慌てる百ちゃんは私がそのまま心を渡し続けていると、少し赤面して、私の背に手を回してくれた。
「私も大好きですよ、コトハさん」
よしよしと背中を撫でてくれる。
あの時、期末前の救出訓練の時、正確に伝わらなかったライバル視を、今度こそ、真正面からぶつけた。
「ねえ、百ちゃん。次の期末は、私がトップになるからね」
百ちゃんは少し驚き、けれど好戦的に、少し緊張を孕んだ顔で微笑んだ。
「私も、負けませんわ」
「座学トップ勢がバチバチしてる……!!」
「コトハ、補習でなんかあったのか?」
「い、いや、やっぱり一番がいいなって思っただけだよ!」
耳聡いな焦凍くん。
すぐ来た焦凍くんに何でもないよと百ちゃんを離して返してあげる。
チームリーダーとして機能している響香ちゃんの側によると、ノートに何かを書きながらうんうんと頷く。
なんかかっこいいな、響香ちゃん。
「コトハはダンス隊ね、あとさ、白い心の方をキラキラ降らせることってできる?」
「了解。できるよ、例えばこんな感じで」
小さいクジラを作って、弾けさせた。
まあ作るというより、解除の副産物と言ったほうが正しいけど。
「おー、それっていつもの効果ある?」
「ちょっとはあるけどそんなでもない」
「そっか……よし、兼務ね。まずはダンスチームで特訓して」
「はーい!」
******
「さすがコトハ!センスいいねー!」
「ほんと!?よかった!」
「やっぱ肉弾戦できる奴はセンスいいよ!麗日とかさ!」
ガチガチの緑谷と飯田を見て三奈ちゃんにそうかなぁと苦笑する。
まあでも、正統派の対人戦という訓練を直で受けてるのは私とお茶子ちゃんぐらいなものだ。
ちら、とお茶子ちゃんを見た。
「ん?どうかした?」
「ガンヘッドマーシャルアーツって、もしかして警察の逮捕術からの派生かな?」
「そうだよ!即時制圧が目的!」
「うーん、シャチョーの対人訓練は基本的に昏倒までだから、暴力なしで取り押さえられるのはいいよねー」
「そ、っか……!」
お茶子ちゃんはパア、と顔を輝かせた。
うっ、かわいい。
一瞬止まった息を整えてお茶子ちゃんに向き直る。
「今度、訓練付き合ってくれない?」
「い、いいよ!!うん!いつでも付き合う!うはあ!コトハちゃんに技教えるなんて緊張するなァ!」
「え、そう?」
「うん!だってコトハちゃん何でもそつなくこなすからさ。爆豪くんとは違ったタイプの万能マンだよねー」
「万能マンかぁ」
「あ、ごめん!嫌だった?」
「いや、そう思われてんのは嬉しいよ。期待に応えるように頑張らないとね」
拳を差し出せば、意図を察したお茶子ちゃんも拳を合わせてくれた。
「ちょーっとそこぉ!青春してる場合じゃないぞ!ダンスはどうしたァ!」
「うわ!ごめん三奈ちゃん!」
「すぐ戻るよ!」
三奈ちゃんはなかなか鬼コーチだった。
センスがいいとは言われたものの、熱が入るスパルタ指導に着いていくのがやっとで、ダンスレッスンの次の日は普段使わない部分が筋肉痛になった。
体が、うまく使えていないんだ。
文化祭に向けてだけど、意外とヒーローとしての訓練にもなっている。
よし、もっと頑張らなきゃ!
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