Walk.48



「雄英全員!音で殺るぞ!!」

爆豪の爆発から派手に始まった。
ツカミは、完璧。

「よろしくおねがいしまァス!!」

響香ちゃんの第一声から、光が明滅して、あっけに取られた観客たちを、バンド隊とダンス隊で引きつける。
びっくりしたかな?
でも見ててね、緑谷の見せ場だよ!
三奈ちゃんと交差するアクロバットでセンターを空けて、緑谷青山コンビに場所を譲る。
あ、いた!エリちゃん!
緑谷が青山を打ち上げてサイドにハケて行った。
エリちゃん楽しんでくれてるかな!
客席を指すフリでエリちゃんを指した。
未だ暗闇に囚われる女の子は、周囲の白い心に包まれて、その内に沈め込んでしまった白い心をもう一度拾い上げようとしている。
きっと、楽しいって思えるから!
楽しいって、思わせてみせるから!
峰田のパートを終えてサイドのキャットウォークに登った。

「焦凍くん!体お願い!」
「ああ」

いっくぞ……最大出力、白鯨ーー!
鯨二頭に半分ずつシンクロして、天井付近を泳がせる。
間奏パートに、鯨の咆哮が轟いた。
さあ、サビだ!
鯨の目から、焦凍くんが冷気を纏ったのが見えた。
次の瞬間、巨大な氷の足場が瀬呂や峰田の個性を飲み込んで形成される。
いま!
鯨を弾けさせて、白い星屑を無数に散らした。
けれど、私の中の心が減った感じはまるでしない。
焦凍くんの腕の中から飛び起きた、

「焦凍くん!」
「おう、行ってこい」

ダンス隊の方へと焦凍くんの手を借りて氷壁に飛び乗る。
三奈ちゃんの隣に並び、心を溢れさせる白い世界を眩しく思いながら踊った。
あ、心操くんだ!
来てくれたんだね!
心操くんはテンションの上がった普通科の友達にもみくちゃにされていたが、私と目が合うと、口角を上げて手を振ってくれた。
うわあ嬉しい!

「Yea I’ll be!!(そう、ヒーローになるんだ!)」

あっ、響香ちゃんがアドリブした。
それでも爆豪は渋面のまま響香ちゃんの音についていく。
隣で踊る三奈ちゃんも気づいた様子で、顔を見合わせて笑った。
ぶふっ、なんだかんだ言ってフォロー上手だよなぁ。
笑いを堪えて踊りながら氷上を走って、ふとエリちゃんが目に入った。
ああ、白い。
黒い心に、戒めに封じられていた白い心が解けて立ち上った。
両腕を広げて、楽しいという気持ちを全身に溢れさせているその姿に、思わず涙が込み上げた。
この文化祭で、一番楽しみにしていたものが、今見れた。



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