Walk.53
心操くんの新兵器が届いてから、休日は特にやることもない私はその特訓に付き合っていた。
と言っても、ペルソナコードの練習は一人でやるから、とのことで、それを装備した状態での戦闘スタイルの調整が主な内容だった。
それほど変わらないのでは、と思っていたが、中々どうして突起物の多いペルソナコードに少しでも捕縛布がかかると繊細な扱いのそれは簡単に標的を逃してしまう。
ほら、また外した。
ひょい、と跳んで避ければ心操くんは悔しそうに次の布を振るう。
「目線は私!布に意識取られすぎだよ!」
視線を落とした心操くんに石を投げれば、即座に反射で布を動かし叩き落とした。
けれど視線が私から石、布へと移り、死角へと入った私の蹴りを喰らう。
「相変わらず暴力的な指導してるな」
「あ、先生」
飛んできた布を捕まえて追撃をしようと振り上げた足を下ろす。
心操くんを助け起こして、アイコンタクトをした。
「訓練中悪いな。久地楽、エリちゃんを迎えに行くからお前も来てくれ」
「今日退院だったんだ。了解です」
「ねえ先生」
私の口パクに心操くんの声が乗る。
が、消太くんは答えずコツンと心操くんの頭を小突いた。
バレたか。
私は肩をすくめて心操くんと視線を交わした。
「うーん、今のよかったと思うけどねー」
「いけるかと思った」
「マイクなら引っかかったかもしれんが俺は担任だぞ。練習して出直せ」
「はい」
「じゃーねー心操くん」
「うん、訓練ありがとう。また頼む」
「はーい」
心操くんに手を振って先を行く消太くんを追いかけた。
雄英の敷地内に停められていた黒塗りの公用車に乗り込むと、消太くんは徐に私の頭を撫でた。
なんだ?と首を傾げれば、消太くんはイタズラっぽく微笑んだ。
「心操には悪いが、多分どれだけ練習してもお前の声は分かるよ」
きゅんを超えて心臓を鷲掴みにされるような衝撃に胸の辺りを抑えた。
あ、あぶな、心臓止まる!!
漏れ出す白い心を捕まえながら、これ以上食らうわけには行かない、と這々の体でそっぽを向けば、珍しく笑う声が聞こえた。
大人の余裕というやつか!悔しい!!
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