Step.76



翌日。

「おは―――ぶふっ!!」
「笑ってんじゃねえぞビビり!!」

な、なんで爆豪が8:2分けになってんの!?
切島と瀬呂にいじられてる爆豪を見てお腹を抱えた。
待って、ホント笑うから待って!

「職場体験でベストジーニストのとこ行ったんだと!」
「あっははは!!マジか!ベストジーニストにやられたの!?ウケる!!」

死ぬ!
腹がよじれて死ぬ!!
私爆豪に対して腹筋弱すぎかもしれない!!
BOMB!と爆発と共に髪が元に戻った爆豪を見て更に笑いが止まらなくなる。
このままだと笑い死ぬ。割とガチで!

「さァそろそろ始業だ!席につきたまえ!!」

久しぶりに聞いた飯田の大声に苦笑しながら、爆豪の手を避けて後ろの席に戻った。
同じように女子のところから戻ってきた百ちゃんと視線を交わす。

「おはよ、百ちゃん」
「おはようございます、コトハさん……あの、聞きましたわ。保須市で救助活動を行ったそうですね」
「まあ、プロの指導下だけどねー」
「……私は」
「百ちゃん?」

うつむいて黙り込んでしまった百ちゃんの顔を伺うが、パッと笑顔で「なんでもないですわ」というものだから、それ以上聞くこともできず、タイミング悪く入ってきた消太くんにガンを飛ばすことしかできなかった。
やめときゃよかった。
目があって2秒で後悔した。


******


「緑谷の動き見てから爆豪めっちゃイライラしてんね」
「な」

既にぷすぷすと小爆発を起こしている爆豪を遠目に見ながら切島と頷き合う。
複雑に入り組んだ迷路のような密集工業地帯で行われる、オールマイトの救助訓練のため、第2組目の私と切島、爆豪、上鳴、百ちゃんの5人は一度集合して開始場所の抽選を行った。
私は西側ゲートか。
このメンツの中じゃあ、警戒すべきは爆豪と百ちゃん。
機動力の爆豪と、思考力に長けた百ちゃんとの首位争いになるだろう。
体育祭最初のレースでも食いついて行けたから、機動力では負けていないと思うが、この救助訓練は要救助者がどこにいるのかが分からないというのがミソだ。
救難信号とは言いつつも、その出し方は毎回異なる。
前の組は発煙筒だったけど、今回はまた違うのだろう。
百ちゃんはその点に置いて汎用性がチートとも言えるほど高い。
電気信号ならそういった機械を創造すればいいし、何なら双眼鏡を創造してもいい。

「よっし……百ちゃん、負けないぞ」
「コトハさん……ええ、頑張りますわ」

あれ、やっぱりなんか元気ないな。
百ちゃんの両手を取って自信の欠片を渡す。
しっかりと目を見つめて、先程と同じ言葉を繰り返す。

「百ちゃん!負けないぞ!」
「え、ええ……」

私は、君が一番手強いと思っている、と伝えたかったのだけれど、上手く伝わったかな?
爆豪より、君が厄介だって、だから自分に自信がないなんて、自分が人より劣っているだなんて、思いこまないでほしいって、伝えたかったんだけど。

「さあ位置について!」
「じゃあね!!」

百ちゃんに手を振り、開始位置に走った。
心のストックはまだ大丈夫。
おそらく先生が見ているであろう記録ロボに、位置につきました、と合図を送る。

『それじゃあ第2組目!START!!』



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