Step.92



とは思っていたけど!!

「これはひどい!!」

高所からの落下に耐えられないだろう面々を中心にマンタを広げて回収し、着地する。
バスから下ろされた私たちを待っていたのは、ワイルドワイルドプッシーキャツ、通称ワイプシの女性ヒーロー二人だった。
自己紹介と共に宿泊施設の場所を告げられた私たちは嫌な予感にバスへ戻ろうとしたが、その前に土砂の大崩落によって崖下へと落とされたのだ。
主に女子をフォローした私は、黒い獅子にまたがって全員の安否を確認した。
個性の自由使用が宣言される前に個性を使ってしまったが、まあ、私有地とのことなのでいいだろう。

「マジュウだー!!?」

上鳴と瀬呂の声にハッとそちらを向けば、爆豪、緑谷、轟、飯田の四名が飛びだして行った。
ちょ、動物殺すの!!?
と思ったが、どうやらそれは土でできていたようで、ほっと胸をなでおろした。
行動速すぎてびっくりするわ。

「みんないる?」
「いますわ!」

百ちゃんがいち早く周囲の状況を確認し、頷いてくれた。
よし、ひとまずはよかった。
それにしても3時間か……。
うん、何とかしてお昼ご飯にはありつきたい。
頑張ろう。

「さあ皆!!俺についてくるんだ!」
「仕切ってんじゃねぇよクソ眼鏡!!」
「はい、回収」

爆豪の心を回収してとりあえず黙ってもらう。
皆、落下のせいで怪我をした様子はない。

「委員長、それでもいいんだけど、まずは前衛と後衛を決めよう。この土くれ魔獣、きっとピクシーボブの個性でしょ。ね、緑谷」
「うん、僕もそう思う」
「ってことは、だよ。ここから合宿所までただ歩くだけで着くとは思えない。全力で襲撃が来る」
「む、確かにそうだな」

頷いた飯田はすぐに前衛と後衛を募った。
そして、百ちゃんとも相談して遊撃手も決める。
後衛の人間が前衛に行ったり、その逆がないように両方をカバーできる機動力の高いグループだ。
本当は爆豪に遊撃手を頼みたかったんだけど、前衛しか認めないとのことだったので断念した。
そのため、班分けはこんな感じだ。
前衛:飯田、上鳴、切島、轟、爆豪、緑谷、芦戸
後衛:青山、砂藤、瀬呂、口田、峰田、蛙吹、麗日、葉隠、八百万
遊撃:常闇、尾白、久地楽
そして、後衛には位置するが基本的に攻撃は行わず常に索敵をする要員として耳郎、障子を選んだ。

「ついて来いやモブども!!」
「も、モブって……ぶふっ、ば、爆豪、ツボだわ……!!」

ひぃひぃと必死に笑いを堪える私を、尾白が苦笑気味に「真面目にやろうよ、怪我するから」と窘めた。
マジでごめん。
本当に反省してる。

「前方3体!」
「後ろから1体来る!」

障子と響香ちゃんの声に、ハッと全員が戦闘態勢を取った。
真っ先に爆豪が跳びかかっていき、常闇が後方援護に回った。
中々いいチームワークかもしれない。
しかし、進むうちに12時に着くなど到底無理だと全員が実感する。
山のふもとがようやく見えてきたころには、既に日は傾き夕暮れに全員が不安を覚え始めていた。

「八百万、懐中電灯を出してくれるか」
「は、はい、少しお待ちになって」

常闇に続いて後衛の人たちも百ちゃんから懐中電灯を受け取っていた。
それにしても常闇が暗闇怖いって言うイメージなかったな。
人は見かけによらないってことか。
この前切島が言っていたカタカナ発音の『You can't judge a book by its cover.』を思いだして笑ってしまう。

「コトハちゃん……余裕やね……羨ましいわ……」
「お茶子ちゃんヤバそうだね!?後ろ乗っていいよ!」

獅子の後ろに吐きそうなお茶子ちゃんを乗せてよしよしと頭を撫でる。
可哀そうに。
お腹も空いているからきっと吐きだせるものがないんだ。
百ちゃんもそろそろヤバそうだ。
獅子から降りて、代わりに乗ってもらう。

「あともうちょっとだから頑張ろうね」



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