Step.94



「くっ、発育の暴力!」
「響香ちゃん心の声出てるよ」

湯船に先に浸かった百ちゃんを見て響香ちゃんがうなだれた。
体を流した私もゆっくりとお風呂に足をつけた。
冷え性だから急に入ると冷えた体のせいで熱く感じるのだ。

「梅雨ちゃんお湯大丈夫なの?」
「ええ、あまり長くは入れないのだけれどね」

そうなんだ。
私より先に入っていた梅雨ちゃんは早速半身浴に切り替えた。

「ヤオモモー、アヒルさんだしてよアヒルさん」
「私の個性では生き物は出せませんの……」
「そうじゃなくてさ、黄色いおもちゃの……あれ?見たことない、のか、お嬢様だから!?」
「あら!アヒルさんとは無機物なんですの?無知でお恥ずかしい限りですわ……」
「あはは、そんなことないよ。それじゃあとりあえず生きてるアヒルさん投入!」

私は白い心でいくつかアヒルさんをお風呂の上に浮かべた。
すぐにアヒルさんたちと遊び始める女子尊い。
かわいい。
この世の至宝がここにある。
娘さんを生んでいただいたお母様方、ありがとう、本当にありがとう。

「くそガキィイイイ!!?」

峰田の声にきゃっきゃと遊んでいた皆が塀の上を見上げると、峰田の侵入を阻んだであろう洸汰くんがいた。
入る前に消太くんが「ガード頼んどいたから安心して入れ」と言っていたのはこのことだったのか。

「やっぱり峰田ちゃんサイテーね」
「ありがと洸汰くーん!」

三奈ちゃんがみんなを代表してお礼を言うと、振り返った洸汰くんが驚いたのかぐらりと体勢を崩した。
あっ!!?
とっさに飛びあがり、塀に膝をつくと洸汰くんの落下地点に白いクッション羊を生み出した。
それとほぼ同時に緑谷が滑り込んで洸汰くんの頭の下に手を差し込んでキャッチした。
ナイス!!
と思った瞬間すさまじい氷壁が塀のすぐ傍に現れた。
姿は見えないが焦凍くんだろう。
寒い。

「コトハ、こっち男湯だ」
「あ、ごめん、とっさに体が反応しちゃった。緑谷、羊消すよ」
「ううううううううん!!!」

いいのか?
一瞬戸惑ったが羊を消して緑谷に洸汰くんを預ける。
私の体は黒が隠してくれていたし、洸汰くんと飛び込んできた緑谷しか見ていないからセーフだと思う。
幸い男子はタオル巻いてたしね。
塀からよっと降りて氷のせいで少し冷えた体を温泉で温める。

「こら!だめじゃん!!」
「男子に乙女の柔肌見せちゃダメでしょ!」

透ちゃんと三奈ちゃんが飛びついてきた。
ひい!?
待ってよ!!
お風呂のお湯が勢いづいて二人と共に私に飛びかかってくる。

「待って!!あっつ!?熱いって!」
「うははは!おしおきじゃあ!」
「えー!楽しそう混ぜて!」
「お茶子ちゃん空気読んで!!」
「読んだ!!」
「ケロケロ、仲良しね」
「あらあら」

梅雨ちゃん百ちゃん見捨てないで!
響香ちゃんに至っては既に興味ないのかアヒルさんと遊んでいる。
あ、四面楚歌だわ。



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