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3
「お?さっぱりしたじゃん」
「うん。店長さん切るの上手いね」
「なー。良い感じだろ。ちょっと人相悪いけどな」
「え?」
「え?」
きょとん。
サッチが至極不思議そうな顔をして固まった。
spring splice
髪を切ってから三週間が経ちました。ショートというよりはボブに近い感じの髪型。ちょっと伸びてきて、良い感じのバランスです。最初はサッチの髪とか店長さんの髪のことを考えて個性的にされるのかと思ったけれど、案外大丈夫だった。カットも上手いしお店もきれいなのに、お客さんが来ないというのが不思議で仕方ない。
「あー……昔はよ、結構来てたんだよ」
「へー…」
「でもちょっと色々あって、今じゃあんなん。マルコがちゃんと接客スマイルしてんなら良かったわ」
「接客スマイル……」
「あれ……違う?」
なら人相悪いだろ、なんてまた不思議そうにするサッチに首を傾げる。第一印象が第一印象なだけに、人相が悪いとはあまり思えないんだと思う。
それとも、店長さんに対する私とサッチの親しさの差?
「まぁ、いいんだけどさ。気に入ったならまた寄ってやってよ」
「あ、うん。夏になったらまた行く」
「更に切るの!?」
随分アクティブだななんてサッチは爆笑した。だって暑いんだから仕方ない。
あのお店に何があったのかは知らないけれど、今が大丈夫ならきっと大丈夫。じゃなきゃサッチがオススメしたりなんかしないもの。
だってサッチは、お父さんに私のこと任されてるらしいし。その辺詳しくはよくわからないけど、サッチが信頼出来る人だっていうのは知ってる。小さい頃からお世話になってたからね。第二のお父さん、もしくはお兄ちゃんみたいな。
「サッチー、今日仕事はー?」
「ある。だから今急いでるんでしょ、仕事前に飯作ってあげるとか俺ちょーやっさしー!」
「やっさしー!流石サッチ」
「良い歳した子が料理1つ作れないのは問題だけどな。よく一人暮らしなんかする気になったよなぁ」
「……あとで覚えるからいいの」
カレーだとか、シチューとか。今はそんなものしか作れないけど、この四年間でみっちり覚えようと思ってる。なんせこっちには、サッチという名のプロがいますからね!今は居酒屋で働いてるけど、昔はちゃんとしたホテルのシェフだったらしいし。性に合わなかったからやめたそうだけど、料理の味は一級品だもの……!
「じゃ、行ってくるわー」
「はーい!今日ありがとね」
「おう。次はそうだな……来週の日曜あたりにまた様子見にくるわ」
「わかったー」
じゃあ、とひらひらと手を振ってサッチは仕事に行った。残されたのはできたてほやほやのカルボナーラ。
と。
「…………あ」
ぽつん。
台所に残された、私のではない黒い携帯。
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「うん。店長さん切るの上手いね」
「なー。良い感じだろ。ちょっと人相悪いけどな」
「え?」
「え?」
きょとん。
サッチが至極不思議そうな顔をして固まった。
spring splice
髪を切ってから三週間が経ちました。ショートというよりはボブに近い感じの髪型。ちょっと伸びてきて、良い感じのバランスです。最初はサッチの髪とか店長さんの髪のことを考えて個性的にされるのかと思ったけれど、案外大丈夫だった。カットも上手いしお店もきれいなのに、お客さんが来ないというのが不思議で仕方ない。
「あー……昔はよ、結構来てたんだよ」
「へー…」
「でもちょっと色々あって、今じゃあんなん。マルコがちゃんと接客スマイルしてんなら良かったわ」
「接客スマイル……」
「あれ……違う?」
なら人相悪いだろ、なんてまた不思議そうにするサッチに首を傾げる。第一印象が第一印象なだけに、人相が悪いとはあまり思えないんだと思う。
それとも、店長さんに対する私とサッチの親しさの差?
「まぁ、いいんだけどさ。気に入ったならまた寄ってやってよ」
「あ、うん。夏になったらまた行く」
「更に切るの!?」
随分アクティブだななんてサッチは爆笑した。だって暑いんだから仕方ない。
あのお店に何があったのかは知らないけれど、今が大丈夫ならきっと大丈夫。じゃなきゃサッチがオススメしたりなんかしないもの。
だってサッチは、お父さんに私のこと任されてるらしいし。その辺詳しくはよくわからないけど、サッチが信頼出来る人だっていうのは知ってる。小さい頃からお世話になってたからね。第二のお父さん、もしくはお兄ちゃんみたいな。
「サッチー、今日仕事はー?」
「ある。だから今急いでるんでしょ、仕事前に飯作ってあげるとか俺ちょーやっさしー!」
「やっさしー!流石サッチ」
「良い歳した子が料理1つ作れないのは問題だけどな。よく一人暮らしなんかする気になったよなぁ」
「……あとで覚えるからいいの」
カレーだとか、シチューとか。今はそんなものしか作れないけど、この四年間でみっちり覚えようと思ってる。なんせこっちには、サッチという名のプロがいますからね!今は居酒屋で働いてるけど、昔はちゃんとしたホテルのシェフだったらしいし。性に合わなかったからやめたそうだけど、料理の味は一級品だもの……!
「じゃ、行ってくるわー」
「はーい!今日ありがとね」
「おう。次はそうだな……来週の日曜あたりにまた様子見にくるわ」
「わかったー」
じゃあ、とひらひらと手を振ってサッチは仕事に行った。残されたのはできたてほやほやのカルボナーラ。
と。
「…………あ」
ぽつん。
台所に残された、私のではない黒い携帯。