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節分のこと


 節分をやりたいという申し出があったので許可したはいいが、どうやら鬼を誰にするかで揉めたらしい。

「あるじさま、あるじさまはだれがよいとおもいますか?」
「私からしたら貴方方はみんな鬼ですけど」
「俺っち達からしたらそんなことを言うあんたが鬼だぜ」
「決まりだ今剣、薬研をぶっとばせ!」
「ばびゅーん!」
「待てよ大将!?」

 せめてぶっとばすんじゃなく、豆投げてくれよ!なんて騒ぎ立てる薬研に、今剣がけらけらと笑う。山姥切国広が私の横ではあと息を吐いて、向き直った。

「で?誰にするつもりだ?」
「それ私が決めるんですか」
「あんたが言わないと、いつまでも決まらなそうだ」

 マジかよ、本丸の中で一番偉い本隊長に投げられてしまえば打つ手がない。ほんとに私が決めなきゃならないらしい。
 ちらり、広間に集まっている人たちを確認する。数にして25人。鬼役を決めるなんて、至極めんどうだ。
 唇をきゅっと噛み眉を顰めるが、山姥切国広の視線は逸らされない。仕方ない、折れてやるか……と諦めの溜め息をつき、集団に声をかける。

「鬼の副長だけに〜?」
「兼さーん!!」
「よし堀川国広、よく言った。君たち鬼な」
「えっ、僕も!?」

 ひくり、堀川の横にいた和泉が口元を引きつらせた。抗議の声はない、何故ならみんなもう既に、豆を抱えながら挑戦的に笑っているから。
 視線を一手に引き受けた彼らがぽつりと言う。「マジかよ……」……うん、まあその気持ち、わからなくもない。


「まあ、どんまい。頑張ってくださいな」


 ぴしゃりと襖を閉めて私が去るのを合図に、雄叫びが響き渡った。
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