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違和感の緩和


「キャプテン、なんでマスクしてるの?」
「……予防だ」
「ナンだトラファルガー、花粉症か」
「違う。お前みたいなバカの菌が移らないようにだ!」
「ほーう?」
「…ちっ…」

クマが不思議そうにトラファルガーを見る。トラファルガーは今日ずっと虫の居所が悪い。
だが私は知っている。何故ヤツがこんなに不愉快なのかを。トラファルガーは予防なんかのためにマスクをしているわけではないのだ。全てはこのマッドサイエンティストであるこの私、リリーが原因だ。なんてったって、こいつが食べた私特製のナポリタンの激辛さ、まともじゃない!やつのマスクの下は今頃!腫れに!腫れて!たらこ唇になっているに違いないのだ!!

「哀れだなトラファルガー!お前を殺すことが私の最終目標ダガ、これはこれで楽しい!いや、とっても、ちょう、楽しいぞ!」
「うざったい訂正をするな!全く、お前に少しでも悪いと思ったおれがバカだった…っ」
「やーいやーい!ばかめ!しかし優しい私はお前にプレゼントを差し出すぞ。さっき作った」 
「……なんだ」
「髭剃り」
「良い加減吊るすぞ…ッ!」

なんだよ人の好意を!…しかしまァ確かに、口回りが腫れているところに髭剃りなんかしたら痛くて痛くて仕方ないだろうぷぷっ、と思ったのは事実だ。だがそれに気付かないほどこやつもバカじゃない。痛い痛いはいやだったらしい。

「残念な限りだ。髭なんておっさんだぞおっさん。世の中には髭嫌いな女子もいるのだ、そうやってお前は女子に嫌われてしまえばいい」
「髭ごときで嫌うやつは、その程度ということだ。そんなヤツは最初からどうでもいい」
「なんだと!?これは深刻な問題だゾ、トラファルガー!」
「どこが問題だ!だいたい髭のどこが悪い!いいか?毛というものは汚いものから身を守っているんだぞ!?」
「知ってるわボケぇ!おれかっこいいんじゃね海賊っぽくね?みたいに髭生やしてるのがムカつくのだ!髭かっこいい人がいんのも知ってるわ!」
「別におれはそんなつもりで髭を生やしているんじゃない!第一、髭がなくたっておれは元から見た目は悪くないはずだ!」
「うっわナルシスト!ナルシスト!そんなに見た目いいとか言うなら今すぐ髭剃ってみろよ!」
「お前…ッ!」
「ちょ、ちょっとキャプテン!」
「船長、話がずれてる!」

うっさい取り巻き、うるさくない取り巻き、そして最後にクマがストーップ!と割って入ってきた。クマのタックルを見事にくらった私はぐえ!と言葉を吐き、衝撃で髭剃りを落としてしまった。それを、うるさくない取り巻きに拾われる。

「あーっ!なにすんダ取り巻き!」
「おれの名前はペンギンだ!リリー、これは没収するぞ!」
「すまない、よくやったペンギン」
「いーえ」

熱が覚めたらしいトラファルガーは、息を吐き出して落ち着いた様子だ。ちくしょう、あとちょっとで面白いものが見れたのに…!

「この取り巻き共が…覚えてろよーッ!」
「捨て台詞だな」
「ウワアアーっ!!」

駆け出して研究室へと一直線。
全く全く!いつか絶対、お前たちをぎゃふんと言わせてやるんダカラな!


違和感の緩和
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