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気持ちの食卓


考えた。考えてみたわけだ。

最初は感情的にトラファルガーを問い詰めてみたりもしたものだが、自分から吹っ掛けておいてトラファルガーは言いよどんだ。いつものいけすかない冷静さはどこにいったと言いたいくらい、アイツは気持ち悪かった。目が泳いで、悲しそうな、つらそうな、怯えるような、そんな目をしていた。その態度がまた私の癪に触ったわけだ。叱られるのが嫌な子供の方が、まだ可愛げがあるダロウ。

それから数日間、ほとんど会話もしてイナイ。いつものようにトラップを仕掛けてみても、避けないのだ。まるで何をされても仕方ないと受け入れるように、抵抗をしない。当然私としては気に食わないわけで、張り合いのナイあいつから心臓を取って何の達成感ガある!?最早私の問題よりも私はヤツの方が気になる。なんだこれはアイツの策略か!?ムキャー、ムカツク!

バシバシと新しく作った被験人形がーろー君をぶん殴る。がーろー君は元から悲しそうな顔だ。それが今のトラファルガーに似ているから、一層イライラが増した。


「……アアアア本当ニ!なんナンダ全く!!」

ドアに向かってがーろー君を投げつけた。
ドアにぶつかったがーろー君はよれながら床に落下したわけだが、ぽて、と落ちる音と一緒にガシャン、という音が聞こえた。

……ガシャン?


「……なんダヨ、ご飯か」
「……あぁ」

椅子から立ち上がって扉を開ければ、両手で盆を持ったトラファルガーがいた。メチャクチャ気まずそう。

今日もパスタです。
昨日もパスタです。
ずっとパスタです。

今日はスパゲティサラダ、略してスパサラだ。相変わらずうまそうな見た目と匂いしやがって!海賊やめて料理人すればいいのに。


「…とりあえずソコ置いてクレ」
「……」

中に通して、扉を閉めた。
会話数も会う機会も減った今、こいつとまともに会うのは食事を持ってきてもらう時だけだ。
律儀ダナ。こんな時にも。

「……私はお前のカルボナーラがイチバン好きだ」
「……」
「カルボナーラと言ったらトラファルガー!いっそカルボナーラ・ローにすれバいいと思うくらい好きダ」
「……そうか」
「あぁ。まぁ別にカルボナーラに限らずお前のパスタはウマイぞ。流石パスタ系男子ダト言わざるを得ない…お前を殺してしまった時に、パスタが食えないのは惜しいと、本当に思ッテいたんだ」

フォークでぐるぐるし、スパサラを口に入れる。
…ウム。相変わらずの味だな。

「でも」


フォークをトラファルガーに投げつける。いつかの時のようにあっさり取られることもなく、フォークはトラファルガーの顔の横を通り、ヤツの頬を傷つけてドアにぶつかる。
そのまま、まだ床に落ちていたがーろー君の胸の辺りに落下した。


「今のお前のパスタは、不味いよ」


マズイよ――スゴく。

予備のフォークでまた一口食べて、またトラファルガーに投げつけた。

今度は人形ではなく、本物のトラファルガーの胸にぶつかって落ちた。


気持ちの食卓
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