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よいとしてしまうなんて(1/2)
死ぬように寝たからか、朝の目覚めはかなり良かった。ただし、気分は最悪状態だったけど。
朝練にも遅刻せず行けたし、昨日の名誉挽回はまぁ出来た。寧ろ朝一番に着いたからか先輩達は逆に驚いたし心配してきた。俺ってそんな立ち位置?真田副部長も満足気にうむと言っただけで特に何もなかった。部活はクリア。
が。
「……………何コレ」
ちょっと浮かび始めた気分が、反動を付けて沈む。ふらっと入って何気なく見た黒板には、日直の欄に自分の名前。
そしてその横に、苗字サンの名前。
―――日直って、出席番号順だよな?
苗字サンは転校生だから名前関係無しに一番後ろ。つまり、後ろの方のやつとやるはずだろ?対して俺は、後ろとは無縁のはずだ。カ行だし。
ぽかんとして見てりゃ、俺の呟きが聞こえてたのか近くにいた田原があぁ、と口を漏らした。
「うちのクラス、苗字サンが来たから奇数なんだよ。それに切原、前回の日直の時はサボっただろ?」
言われてみればそんな気がしなくもない。というか、更に掘り返せば二年になってからやった憶えがない。そのとばっちりが今来たらしい。
(何もこんな時に来なくてもいいじゃねぇか……)
気分はどんどん下がってく。イライラはしない。気分だけ。
もう一回黒板を見てみるも、当然変化があるわけでもなく苗字サンと俺の名前が書いてある。黒板消しで消したい。
ガタン
机の上で突っ伏していれば、近くから物音がした。多分、椅子か何かをズラした音。
反射的に顔をあげれば、黒板の真ん前。
今登校してきたらしい苗字サンが立ってた。
どく、ん。
苗字サンが居た。黒板を見てた。それだけの事なのに、心臓がどくどくと脈打って、息が詰まる。畜生―――まただ。
苗字サンがくるりと振り向いて、俺を見た。そのままつかつかとこっちに歩いてきて、まだいたらしい田原がおはよう、と挨拶しているのが聞こえた。そして苗字サンも田原におはようございます、と丁寧に挨拶を返してる。ほのかに、笑みを浮かべて。
―――う、わ……笑えんじゃん……。
「切原くん、おはようございます」
「………」
「…切原?」
苗字サンの笑顔に気をとられてて、意識が飛んでた。慌ててっはよ!なんて言えば、田原には不思議そうな顔された。お前……ちょ、あっち行け!
さっきとはまた違う心臓の脈打つ速さを感じながら苗字サンを見れば、彼女は全くの無表情で俺を見てた。まるで、昨日の再現だ。
何?って、なんとか絞り出してそう言えば、苗字サンはぽつりと言った。
「日直って、何するんですか?」
―――あ、そっか。
間抜けな声が漏れた。勿論俺の。
苗字サンは転校生なんだからやる事なんてわからないはずで、それなら例え、そう、例えだ。俺の事を……嫌いでも。聞くのは仕方ないと思う。なんか、責任感とか、すげーありそうだし。
なら。
もし俺が、全部やるから良いよって言って何も教えなかったら―――苗字サンは、何もしなくていいのかな。
俺と今日、関わんなくていいのかな。
そう考えて言葉を渋っていたら、それがまずかった。
「号令と先生の手伝い。それから日誌だよ」
隣にいた田原が全く悪気なくそう言った。畜生お前、あっち行けって言ったじゃねぇか!脳内で!
しかもそれだけならまだしも、あいつはあいつなりに気を使ってくれたのかもしくはただ単に言っただけなのか。
日直は二人でやるものだから、どちらか片方だけがやるってのはしないようにね。と爽やかに一言。
………これ絶対気ぃ使ったわけでもねぇな。単に前回やらなかった俺への当て付けじゃねぇか。
キっと田原を睨めば、あいつはそっちの意味で取ったんだろう。愉快そうに笑ってた。けど俺的には全部説明しちまった事とか避けたかった方面だったとかそんなもんについてだ。気付け馬鹿。
苗字サンは、わかった。ありがとう。と言ってから席に着いた。嫌な顔すらしなかった。
そして。
朝のHRはちゃんと号令をしてたから、日直はやるつもりなんだろう。うわぁ……。
- 7 -
朝練にも遅刻せず行けたし、昨日の名誉挽回はまぁ出来た。寧ろ朝一番に着いたからか先輩達は逆に驚いたし心配してきた。俺ってそんな立ち位置?真田副部長も満足気にうむと言っただけで特に何もなかった。部活はクリア。
が。
「……………何コレ」
ちょっと浮かび始めた気分が、反動を付けて沈む。ふらっと入って何気なく見た黒板には、日直の欄に自分の名前。
そしてその横に、苗字サンの名前。
―――日直って、出席番号順だよな?
苗字サンは転校生だから名前関係無しに一番後ろ。つまり、後ろの方のやつとやるはずだろ?対して俺は、後ろとは無縁のはずだ。カ行だし。
ぽかんとして見てりゃ、俺の呟きが聞こえてたのか近くにいた田原があぁ、と口を漏らした。
「うちのクラス、苗字サンが来たから奇数なんだよ。それに切原、前回の日直の時はサボっただろ?」
言われてみればそんな気がしなくもない。というか、更に掘り返せば二年になってからやった憶えがない。そのとばっちりが今来たらしい。
(何もこんな時に来なくてもいいじゃねぇか……)
気分はどんどん下がってく。イライラはしない。気分だけ。
もう一回黒板を見てみるも、当然変化があるわけでもなく苗字サンと俺の名前が書いてある。黒板消しで消したい。
ガタン
机の上で突っ伏していれば、近くから物音がした。多分、椅子か何かをズラした音。
反射的に顔をあげれば、黒板の真ん前。
今登校してきたらしい苗字サンが立ってた。
どく、ん。
苗字サンが居た。黒板を見てた。それだけの事なのに、心臓がどくどくと脈打って、息が詰まる。畜生―――まただ。
苗字サンがくるりと振り向いて、俺を見た。そのままつかつかとこっちに歩いてきて、まだいたらしい田原がおはよう、と挨拶しているのが聞こえた。そして苗字サンも田原におはようございます、と丁寧に挨拶を返してる。ほのかに、笑みを浮かべて。
―――う、わ……笑えんじゃん……。
「切原くん、おはようございます」
「………」
「…切原?」
苗字サンの笑顔に気をとられてて、意識が飛んでた。慌ててっはよ!なんて言えば、田原には不思議そうな顔された。お前……ちょ、あっち行け!
さっきとはまた違う心臓の脈打つ速さを感じながら苗字サンを見れば、彼女は全くの無表情で俺を見てた。まるで、昨日の再現だ。
何?って、なんとか絞り出してそう言えば、苗字サンはぽつりと言った。
「日直って、何するんですか?」
―――あ、そっか。
間抜けな声が漏れた。勿論俺の。
苗字サンは転校生なんだからやる事なんてわからないはずで、それなら例え、そう、例えだ。俺の事を……嫌いでも。聞くのは仕方ないと思う。なんか、責任感とか、すげーありそうだし。
なら。
もし俺が、全部やるから良いよって言って何も教えなかったら―――苗字サンは、何もしなくていいのかな。
俺と今日、関わんなくていいのかな。
そう考えて言葉を渋っていたら、それがまずかった。
「号令と先生の手伝い。それから日誌だよ」
隣にいた田原が全く悪気なくそう言った。畜生お前、あっち行けって言ったじゃねぇか!脳内で!
しかもそれだけならまだしも、あいつはあいつなりに気を使ってくれたのかもしくはただ単に言っただけなのか。
日直は二人でやるものだから、どちらか片方だけがやるってのはしないようにね。と爽やかに一言。
………これ絶対気ぃ使ったわけでもねぇな。単に前回やらなかった俺への当て付けじゃねぇか。
キっと田原を睨めば、あいつはそっちの意味で取ったんだろう。愉快そうに笑ってた。けど俺的には全部説明しちまった事とか避けたかった方面だったとかそんなもんについてだ。気付け馬鹿。
苗字サンは、わかった。ありがとう。と言ってから席に着いた。嫌な顔すらしなかった。
そして。
朝のHRはちゃんと号令をしてたから、日直はやるつもりなんだろう。うわぁ……。