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扉の先は輝く
居候生活が始まりました。
居候なんてしたことないし、ましてや当然ながら異世界になんてきた事がありません。何したらいいのかと迷いつつも、とりあえず朝は昨日の宴の片付けをしといた。マルコさんがやんなくていいとはいったけど、いや、やっぱそこはね。謙虚にじゃなくて…なんだろ。まぁ、なんか良い感じに見せとかないとでしょ。うん。
他の人が起きるまでに片付けて……あ、途中からマルコさんが手伝ってくれたから早いんだけど。片付けてる時に聞いたのは、料理はサッチさんが作ってるんだとか。あぁだからあの服装かと納得した。リーゼントすげぇ。
そして、片付けも朝の挨拶も二日酔いの人達の看病も色々終わった所で、
「………暇」
やっぱりやる事がない感じです。
仕方ないので、船をうろうろして場所把握でも………ん?でもこの船、家みたいなもんだよね?人ん家うろうろって駄目じゃね?居候だけど駄目じゃね?あれどうしよう。
暇つぶしの最終手段だったのに……!と、与えられた部屋のベッドの上で頭を抱える。すると、コンコンとノックの音が聞こえたので慌てて平常心を装った。
「よう、あづさ」
「あ。エースさん」
半裸隊長もといエースさんでした。今日も笑顔が眩しいです。
なんですかーと言っている間にエースさんは部屋に入ってきて、備えつけの机と一緒にある椅子に座った。ちゃちゃっと済む話ではないのかね。
「昨日、悪ぃ。一人にさせちまって」
「あぁなんだ……大丈夫ですよ。えっと……ハルタさんと、ジョズさんと、あとイゾウさんとビスタさんと一緒に居ました」
「知ってる」
……なら何故謝った。あ、いや最初は一人だったっけ。ハルタさんがお三方の来れない理由もなんか話して気がするし。多分それだな。おっけおっけ、今わかりました。
けど、どちらにせよ結果的に一人ではなかったので問題ない。気にしてくれてんのはきっと、責任感があるからかな。隊長さんだもんね。例え年が近かろうが、隊長さんだもんね、うん。
「おれ、お前が帰るまでお前の世話すっから」
「え?」
「あー…えっと…世話じゃなくて……面倒見る、担当?みたいな。命の恩人だし」
おふ。なんだ、そんなわけか。世話するとか言うから執事的な何かかと思ったよ気持ち悪い。あ、別にエースさんが気持ち悪いんじゃなくてね?寧ろエースさんは執事とかやったら全然いけると思うよ見た目いいから。いやいやいや、そうじゃなくて!気持ち悪いっていうのは、執事的な風に世話されちゃう私を想像してだよ!私が気持ち悪いって事!
一人で脳内弁解していれば、エースさんはすごく真剣に話しているように見えたから意識を無理矢理回収。空気が読めないわけではないのですよ。
「だから、なんかあったらおれに言えよ!」
「はい…ありがとうございます」
「ん。で、今なんかある?」
早っ!と思わず体がちょっとずり下がる。え?そんなにパシられたいんですか?とかまた失礼な事を思っていれば、最初の方って慣れないじゃん。暇だし何していいかわかんないし。との事。
なんだこの人……まさにそうなんだよその通りですよ!ナイスタイミング。
それならせっかくの気遣いだし、じゃあと色々聞いてみる事にした。情報収集大事。
「んー、家事とかでお手伝いするにはどうしたらいいですか?」
「多分サッチに言えばなんとかなる。家事って言える家事は、料理しかねぇし。掃除とか洗濯はみんなで交代制だから」
「ほう。あ、地理とか歴史とか…あとは文化とか法律とか、色んなものがわかる場所か、そういうのに詳しい人とか、居ます?」
「えっと…色々知識持ってんのは、マルコだと思う。用はこの世界の事知れればいいんだよな?だったら、マルコなら本とかもいっぱい持ってるだろうし。まぁ、他の奴らも割と頭回るんだけどよ」
マルコさんはダントツらしい。うむ。確かに良い感じに出来るオーラあるよねあの人。第一印象では微妙な感じだったけど。
家事はサッチさん。知識はマルコさん。最初に関わった人達だ。それは良かったかも。知らない人より知ってる人がいいし、知らない人はそのうち交流を持っていこう。朝の様子じゃ、皆割とフレンドリーだったし。見た目怖い人もいたけど、全然悪い人でもなさそうだし。
―――海賊、だけどね。
「じゃあ、最後に一つ」
「ん?」
「私が元の世界に戻る情報の収集と報告、それから相談は…誰にすべきですか?」
初めは船長さんにするべきかと思ったけど、一々そんな事を煩わせては迷惑だろう。ただでさえ、迷惑なのに。
でもホントは――今すぐにでも、話したい。調べたい。昨日の夜から、ずっと気になってた事があるんだ。
「相談は、誰でもいいと思う」
「誰でも?」
「あづさが相談したい奴でいいんじゃねェか?誰も嫌がんないだろうし、ちゃんと相談乗ってくれると思う。情報収集は、言わなくても多分、なんかあったら知らせてくれる」
大丈夫だ、と。目が言ってる。
船長さんでも?って試しに言ってみたら、一番なんかあった時には親父がいいぜとの事。特に気にしてないらしい。
なら。
「……ちょっと、情報収集に行ってきます」
「どこに?」
気になって、たんだ。
パラレルワールドかもしれない、とも思った。だけど、そんな事じゃ納得いかない現象。
中国から文化が渡ってきたように、私達の世界の文化が、もし――この世界に、流れていたら。
あの人の、出身地は、
「――イゾウさんの、ところ」