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歯車と歯車は衝突しか
視界いっぱいに、見慣れた色が広がっては、消えていく。
―――あづさ…
「………エース!こっち来い!」
「! わかった!!」
マルコに呼ばれて再び走り出せば、すぐ見える戦場。
―――あの島で見つけた、あづさの唯一の手掛かりの坊主。サッチと一緒にそいつん所に向かった時には既にマルコが話を聞き出したあとで、あっさりと経緯を聞くことが出来た。勇まし過ぎんだろなんて呆気にとられたのは一瞬だけで、じわじわと嫌な予感が胸の内に広がってった。
そもそも、女単身でなんとかなる問題じゃないんだ。
「マルコ!ここはいいからお前はあづさをッ、」
「この島はごちゃごちゃしてて上からじゃわかりにくい!普通に見つけるしかねェよい…!」
「………マジかよ…!」
戦場で、しかもマルコが動けないとなると尚更不安だけが募っていきやがる。クルー全員集めて出航して、やっと追い付いた先の船には誰もいねェし。船の奴らを見つけたと思えば、即戦闘。
もしこの戦場にあづさがいんなら―――そう考えるだけで、一気に指先まで冷たくなる感覚がした。
笑っちまうよな。おれ、火なのに。
「ッ親玉だ!!」
仲間の声にハっとして振り向けば、他の連中とは違う雰囲気の野郎が逃げ回ってた。反応してすぐに走り出すけど、おれが行かなくとも他の隊長格がどんどんそっちに駆けてく。
――たかが金で集めた烏合の衆。海賊とじゃ、格が違う。
イゾウが銃でソイツの足元を撃てば、ソイツはビビったのか尻餅ついて固まった。大分本気じゃねェかイゾウ………まぁ、おれも大分本気だったんだけどよ。
なんにせよ、これであづさの居場所を聞き出せる。近くにいんなら迎えに行けるし、遠くてもおれ達が、探し出せる。
家族みてェ。そう、思っても違和感がなかった。
「それで?あづさちゃんは、どこよ」
「あづさ…?な、なんのことか……ッ!」
「ふーん?誤魔化すんだ?……いい度胸」
ゾクゾクゾク…。さっきとはまた違う意味での悪寒に、思わず両腕を擦る。
こ、怖ェ……!普段大人しい奴が怒ると怖ェとか聞くけど、これマジだ……サッチもハルタもマジ怖ェ!戦闘ん時より全然怖いんだけど殺気あんだけど!おれこんな二人知らない!!当然の報いだねい、なんて隣から声がしておれもそうだなとは思ったけど、やっぱり怖ェもんは怖ェ!
案の定耐えられなかったらしい野郎が両手を上げて首を降った。流石にもう、抵抗はないらしい。……そりゃそうだよな。
「あの女なら、船に置いてきた!!」
「………置いてきた?」
「ホ、本当だ!大人しいし陸に着いたことすら気づいてねェみたいだったから、置いてきたッ物置部屋にッ!」
物置、部屋……?
首傾げて記憶を探らせるが、どれがどの部屋までかは憶えてない。人がいるかいないか。そんくらいしか、チェックしなかったから。
ちらり、サッチの目がその場にいたクルーを見渡した。
反応するやつは、いない。
ス…っと静かにマルコが前に出た。つられてマルコに視線を向ければ、マルコは淡々とした口調で良い始めた。
「物置部屋ってのは、どの辺りのだい」
「………二階の…一番、奥の部屋だ……扉も、あの部屋だけ塗装がしてない……」
―――ドク、ン。
おれが見たトコロ…だ……。
心臓が、早い。なのに体温だけはさっきよりもどんどん下がっていく気がして、一気にドン底に突き落とされた気分になる。
二階、奥。塗装のない……ってことは、木がむき出しになってるってこと。
脳裏に浮かんだ場所と、ソイツが言った場所がピタリと一致する。
何故か、開け放たれていた扉。全部綺麗に閉まってた扉ん中で、唯一、
「………見た奴は」
マルコの声が響く。
やっぱり反応は、誰からもなくて。
―――あぁ、口が……重い。
「………いなかっ、た」
「! エース……お前が見たのかい?」
「いなかったってお前……よく見たのか!?なんか、手掛かりとか………」
「いや……でも、扉、開けっぱだったから……出たんだ、多分。自力で…」
言っていて自分でも息が詰まった。
おれ達が追い付いた時には既にあづさはいなかった。痕跡だけ、残して。だから、元の世界にだって………帰ってない、はずなんだ。
なら、今、あづさは、………何処に、……
「――――…探せ!」
血の気が引いた、なんて頭が理解するより早く、誰かの一言が響く。やっぱり咄嗟に、反射的に動いた体はすぐに元いた場所から離れていった。多分、他の奴らも。
代わる代わる目に移る景色には人の姿なんて何も写らなくて、焦燥感だけがおれを駆り立てる。
あづさ、あづさ……!
面倒見るって、………約束、したのに……ッ
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―――あづさ…
「………エース!こっち来い!」
「! わかった!!」
マルコに呼ばれて再び走り出せば、すぐ見える戦場。
―――あの島で見つけた、あづさの唯一の手掛かりの坊主。サッチと一緒にそいつん所に向かった時には既にマルコが話を聞き出したあとで、あっさりと経緯を聞くことが出来た。勇まし過ぎんだろなんて呆気にとられたのは一瞬だけで、じわじわと嫌な予感が胸の内に広がってった。
そもそも、女単身でなんとかなる問題じゃないんだ。
「マルコ!ここはいいからお前はあづさをッ、」
「この島はごちゃごちゃしてて上からじゃわかりにくい!普通に見つけるしかねェよい…!」
「………マジかよ…!」
戦場で、しかもマルコが動けないとなると尚更不安だけが募っていきやがる。クルー全員集めて出航して、やっと追い付いた先の船には誰もいねェし。船の奴らを見つけたと思えば、即戦闘。
もしこの戦場にあづさがいんなら―――そう考えるだけで、一気に指先まで冷たくなる感覚がした。
笑っちまうよな。おれ、火なのに。
「ッ親玉だ!!」
仲間の声にハっとして振り向けば、他の連中とは違う雰囲気の野郎が逃げ回ってた。反応してすぐに走り出すけど、おれが行かなくとも他の隊長格がどんどんそっちに駆けてく。
――たかが金で集めた烏合の衆。海賊とじゃ、格が違う。
イゾウが銃でソイツの足元を撃てば、ソイツはビビったのか尻餅ついて固まった。大分本気じゃねェかイゾウ………まぁ、おれも大分本気だったんだけどよ。
なんにせよ、これであづさの居場所を聞き出せる。近くにいんなら迎えに行けるし、遠くてもおれ達が、探し出せる。
家族みてェ。そう、思っても違和感がなかった。
「それで?あづさちゃんは、どこよ」
「あづさ…?な、なんのことか……ッ!」
「ふーん?誤魔化すんだ?……いい度胸」
ゾクゾクゾク…。さっきとはまた違う意味での悪寒に、思わず両腕を擦る。
こ、怖ェ……!普段大人しい奴が怒ると怖ェとか聞くけど、これマジだ……サッチもハルタもマジ怖ェ!戦闘ん時より全然怖いんだけど殺気あんだけど!おれこんな二人知らない!!当然の報いだねい、なんて隣から声がしておれもそうだなとは思ったけど、やっぱり怖ェもんは怖ェ!
案の定耐えられなかったらしい野郎が両手を上げて首を降った。流石にもう、抵抗はないらしい。……そりゃそうだよな。
「あの女なら、船に置いてきた!!」
「………置いてきた?」
「ホ、本当だ!大人しいし陸に着いたことすら気づいてねェみたいだったから、置いてきたッ物置部屋にッ!」
物置、部屋……?
首傾げて記憶を探らせるが、どれがどの部屋までかは憶えてない。人がいるかいないか。そんくらいしか、チェックしなかったから。
ちらり、サッチの目がその場にいたクルーを見渡した。
反応するやつは、いない。
ス…っと静かにマルコが前に出た。つられてマルコに視線を向ければ、マルコは淡々とした口調で良い始めた。
「物置部屋ってのは、どの辺りのだい」
「………二階の…一番、奥の部屋だ……扉も、あの部屋だけ塗装がしてない……」
―――ドク、ン。
おれが見たトコロ…だ……。
心臓が、早い。なのに体温だけはさっきよりもどんどん下がっていく気がして、一気にドン底に突き落とされた気分になる。
二階、奥。塗装のない……ってことは、木がむき出しになってるってこと。
脳裏に浮かんだ場所と、ソイツが言った場所がピタリと一致する。
何故か、開け放たれていた扉。全部綺麗に閉まってた扉ん中で、唯一、
「………見た奴は」
マルコの声が響く。
やっぱり反応は、誰からもなくて。
―――あぁ、口が……重い。
「………いなかっ、た」
「! エース……お前が見たのかい?」
「いなかったってお前……よく見たのか!?なんか、手掛かりとか………」
「いや……でも、扉、開けっぱだったから……出たんだ、多分。自力で…」
言っていて自分でも息が詰まった。
おれ達が追い付いた時には既にあづさはいなかった。痕跡だけ、残して。だから、元の世界にだって………帰ってない、はずなんだ。
なら、今、あづさは、………何処に、……
「――――…探せ!」
血の気が引いた、なんて頭が理解するより早く、誰かの一言が響く。やっぱり咄嗟に、反射的に動いた体はすぐに元いた場所から離れていった。多分、他の奴らも。
代わる代わる目に移る景色には人の姿なんて何も写らなくて、焦燥感だけがおれを駆り立てる。
あづさ、あづさ……!
面倒見るって、………約束、したのに……ッ