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殺伐した道なら突き進んで(2/2)


「…なん、で……」
「……これ」

驚いてる姉さんに、更に追い討ちかけるように一冊の漫画を差し出した。
表紙には、既に見慣れたテンガロンハット。

「……姉さんが一生懸命読んでるものなら、気になるよ。……共有したかったから」

興味ないだなんて。
人から借りたものだからって。
読まないわけじゃ、なくて。
まさに俺は、素直じゃなかった。
……あとでこっそり読んだ先に、こんな非現実的なものがあるとは思っても見なかったけど。

姉さんから視線を逸らさずにいれば、姉さんの目が泳いでるのがわかった。動揺。混乱。一体今どんな気持ちなんだろう。言い訳なんか出来るはずがない。コスプレ?まさか。こんなに似てるのにそれで通じるわけがない。思い込みによるもの、整形。……それもまた、そうとは思えないよ。
姉さんもそれがわかってるのか、何かを言おうとはしてるみたいだけど、明確な言葉は帰ってこない。隠してたことも仕方ないとは思うし、全く怒ってない。寧ろエースには感謝すべきなのかもしれないとすら思ったから、姉さんを連れ去っていくんじゃないかと思いながらも追い出そうとは思わなかった。

「……大事なんでしょ」
「……」
「救いたいんでしょ。……エースを……この人たちを」
 
姉さんがおかれていた状況なんて知らない。
ただわかるのは、エースがいるってこと。エースが、生きている≠チてこと。
それだけで、姉さんがしたいこと。出来る立場がわかる。……俺に出来ることも。

危ないところになんか行かないでよ。行ったって何が出来るっていうの?
自分の気持ちなのか客観的な意見なのかよくわからない感情がぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃって、俺の中をかけめぐっていくんだ。
でも。
それでも。

「……俺は、大丈夫だから」


それが姉さんの、幸せだと言うなら―――




「行っておいで、…あづさお姉ちゃん」







姉さんが好きだった。
何より大切な、家族だった。

今の俺は……今の俺なら。


あなたを大切だと言っていいでしょうか。
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