自転車を見つけた燕青
(現パロ)
自転車だって車の仲間。だから、自転車を愛車と言っても問題はないはずだ。私の愛車はただのママチャリではない。予算の問題で電動ではないが、ゴムが詰まったタイヤでパンクの心配いらずという、性能的にはあまり珍しくないものだが、まあ私にとっては高価で便利な移動手段である。
その愛車が盗まれ、警察に届け出を出してから一週間のこと。燕青に電話で促されて外に出ると、行方不明の愛車に乗っていた。「おーい」手を振ってる場合か。
「どうやっ、なんで……どこにあったの?」
「この状態じゃ捨てた方がいいかと思ったんだけど、一応な。タイヤは平気そうだったし」
サドルを払うように叩き、アパートの駐輪スペースに止める燕青。
確かに愛車は見る影もなく、買って三ヵ月とは思えない有様になっていた。籠は変形し、塗装は剥がれてる上にちょっと錆びている。ハンドルも隕石でも降ったのかと言いたくなるようなへこみがあり、全体的に何十年と乗り続けたような貫禄だ。廃棄されかけたのだろうか。
「あ、見つかったって連絡しないと……」
「警察なら途中で寄って来たぜ」
「仕事が早い……ありがと」
「夕飯は?」
「シチュー作ってる……」
「お、いいねぇ」
いや、いいねぇじゃなくて。忽然と返って来た愛車に困惑する私の腰に手を回し、燕青がエスコートする。気にしたら負けなんだろうか。実際、見た目はアレだけどまだ乗れる訳だし、シチューを喜ばれてどうでもよくなってきている自分もいる。
「一仕事したら腹減ったなぁ」
「多めに作ったからおかわりしてね」
「分量間違えたんだろぉ?」
「なぜバレた……」
「なんでだろーな?」
怪しく目を弓なりに曲げた燕青。あ、これ聞かない方がいいやつだ。そっと視線を外した。
「誰が盗んだんだろうね」
「あ、犯人も一緒に突き出しといたから」
「仕事が早い……」