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職場体験、2日目
朝から保須に事務所を構えているプロヒーローたちと連携して エンデヴァー事務所は警戒態勢に入っていた。コスチュームに着替えたわたしと焦凍も炎を纏うエンデヴァーの背中を追うように街中をパトロールする
「 連絡があればすぐに駆けつけられるように準備しておくが、自ずからパトロールをするのもヒーロー仕事の一環だ。特に、再び敵が現れそうな時は特にな 」
彼の一歩はわたしの二歩だ。駆け足で追っているためその声がよく聞こえない。焦凍にいたっては聞いているのか聞いていないのか……。エンデヴァーの事になると焦凍は意地悪になるからなあ
アニマルヒーロー事務所、と大きく書かれてある事務所を見つけた。アニマルヒーロー、アニマルヒーロー……、
「 嗚呼 思い出した。アニマルヒーロー事務所って確か、飯田くんが行ったところじゃなかったっけ? 」
「 そうだな… 保須にいればそのうち飯田にも会うんじゃねえか? 」
「 心配だなあ、いろいろ 」
「 焦凍!名前!! ぺちゃくちゃ喋ってないでさっさと付いて来い! 」
エンデヴァーは地獄耳なのである。5メートルほど離れているにも関わらずわたしたちの声を聞き取っていたらしい。そうして 喝を入れられ(?) 焦凍は盛大な舌打ちをする。あ〜〜嫌だまた雰囲気悪くなる…!
黙々と保須の街を一回りし終えた頃にはもうとっくに陽は暮れていた。保須にあるホテル ( 高級めの ) に戻る。今日もヒーロー殺しステインの収穫は無し。分析上、ステインは次にもう一度、必ず、保須にやってくるはずなのに。まあそれが 明日か明後日か、それとも明々後日かはステインのみぞ知るってところであるけど
《 今日もお疲れ様ですわ。わたくしのところは今日も撮影でしたの。全くいつになったらプロヒーローらしいことをできるんですの…? みなさんの所は何をなさったんですの!? 》
《 お疲れ〜! ウチは今日も相変わらず実習よりも辛いハードワークだったよ…。てか やおもものCM絶対見たいんだけど 》
《 やおもも絶対可愛い〜じゃん! あたしん所は今日はひたすら街パトだった! 》
《 ダメです!CM見ないでください! お恥ずかしいですわ! それにしてもみなさん、ヒーローらしいことしていて羨ましいですわ。わたくしも早く身体を動かすことをしたいというのに 》
入学直後に作った連絡アプリのグループでは、百ちゃんに響香ちゃん、三奈ちゃんが会話で盛り上がっていた。シャワーを終えて携帯を見れば通知は更に溜まっていて、ゆっくり読んでいる間にもポンポン会話は進むのだ
《 あー!既読ついた!名前やっほ〜! 》
《 お疲れ様ですわ名前さん! 》
《 お疲れ。今まで仕事? 》
《 みんなお疲れ様〜! そう!わたしも今日1日街パトしててね。エンデヴァーはハードで辛いよ〜! 早くみんなに会いたいな 》
《 名前可愛い〜!わたしも早くみんなに会いたいよ〜! まだ2日目なのに! ホームシックならぬクラスシック! 》
なんて三奈ちゃんが言うものだからわたしもみんなに会いたくなってきてしまう。少しだけしんみりした気持ちになってしまったけど、どうせまた来週からは いつもと変わらないみんなと、一緒に過ごせるんだ
0時を回って、日付が変わる
明日も朝は早い。明日も何事もなく今日という日が終われば良いのになあ、なんて
この時のわたしは知らないのだ、
明日 この保須の地で、何が起こるのか。
この保須の地で、わたしは守る代わりに何を捨てなければならないのか
まだ なにも、知らなかったのだ
職場体験2日目、終了
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