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「 はい、わたしが来たー。ってな感じでやっていくわけだけどもね、ヒーロー基礎学ね。久しぶりだ少年少女ども〜! 元気か? さて、今回のヒーロー基礎学だが、職場体験直後ってことで、遊びの要素を含めた救助訓練レースを行うことにする!! 」

午後、ヒーロー基礎学。

各々ヒーローコスチュームに着替えて運動場γに集合すれば、オールマイトがハッハッハと笑いながら仁王立ちで立っていた

「 はい! 救助訓練ならUSJでやるべきではないのですか!? 」
「 あそこは災害時の訓練になるからな〜。私はなんて言ったかな〜? そう!レース! ここは運動場γ! 複雑に入り組んだ迷路のような密集工業地帯! 5人4組に分かれて1組ずつ訓練を行う! わたしが何処かで救難信号を出したら街外れから一斉にスタート! 誰が1番に私を助けに来てくれるかの競争だ! もちろん、建物への気概は最小限にな 」
「 指差すなよ……ッ 」

5人1組、とはいっても21人クラスである以上何処かは必ず6人になってしまう。スムーズに組み分けをして、早速第1戦目スタート。

緑谷くん、尾白くん、飯田くん、瀬呂くん、そして三奈ちゃんの5人。

《 じゃ 初めの組み配置について〜! 》

「 飯田、まだ完治してねーんだろ? 見学すりゃいいのに 」
「 クラスでも機動力いい奴が重なったな 」
「 うーん、しいていうなら緑谷さんが若干不利かしら? 」
「 確かに。ぶっちゃけ 彼奴の評価ってまだ定まらないんだよね 」
「 何か為す度に大怪我してますからね 」
「 でも緑谷くん、職場体験を得て色々自分のものにしたみたいだし、なんかほら、前と顔つきも違うように見えるし吃驚するかもね 」
「 トップ予想しようぜ!俺瀬呂が1位! 」
「 あーはぁん? うーん、でも尾白もあるぜ 」
「 オイラは芦戸! あいつ運動神経すげえぞ 」
「 デクが最下位! 」
「 怪我のハンデはあっても飯田くんな気がするなあ 」
「 ケロ 」

《 それでは行くぞ! スタート!! 》

PUUUN

オールマイトがスイッチを押したと共に合図が運動場に鳴り響く。ちなみに、わたしも怪我のハンデはあるとは言え飯田くんが1位予想である

瀬呂くんがテープを巻きつけて一気に上空へ。三奈ちゃんは酸で足を滑らせて滑らかに進んでいる

瀬呂くんが映し出された時に1位という文字が右上に表示され、「 ほーら見ろ! 」となぜか切島くんがドヤ顔している

「 こんなごちゃついたところは上行くのが常識ィ! 」
「 と、なると 瀬呂が有利か! 」

瀬呂くん、楽勝そうだなあ。機動力も十二分にあるし、自分の個性の使い方をわかってるし、…

「 え、」
「 緑谷ァ!? 」
「 ぅぉおおお!?緑谷!! 」
「 なんだその動き!! 」

あ、… 言われてみれば… 足を使ってぴょんぴょん跳ねるように、… 何処かでこの動き、…

「 なんかまるで 」

爆豪くんの爆発を利用した動き…?

緑谷くんはよく他人を、ヒーローを観察する子だ。長い間爆豪くんを観察してその動きを自分に応用したっていうこと…?

「 あ! 」

まあまだ慣れていないみたいで足を滑らせてしまっていたが


「 フィニーーーッッッシュ! ありがとう、そしておめでとう! 」
「 あざーっす! 」

襷をかけられたのは瀬呂くん。結局、落ちた緑谷くんを他所に瀬呂くんが1位でオールマイトの元へゴールしたのだ。流石だ。1位予想をしていた切島くんも嬉しそう

《 さあ2組目! スタート位置に着きたまえ! 》





「 ふう 」
「 疲れたねー! 」
「 ううん複雑に入り組んでるとやっぱり色々動きに制限かかるから難しいね〜 」

更衣室に入り、汗拭きシートや制汗剤で汗の匂いを飛ばしながら ヒーロー基礎学の反省会。結局わたしは6人中5位でのゴールだし、やっぱり個性の幅が狭いんだよなあ、と今一度感じた

「 そういえば名前、」
「 ん〜なあに? 」
「 いや、… 轟とさ、なんかあった? 」

目敏く聞かれる。バレるか、やっぱり

「 うん、今ね 喧嘩してるの 」
「 喧嘩ァ!? 」
「 何かあったのですか!? 」
「 ちょっとした争いごと! まあ8割はわたしが悪いんだけどね、… ごめんね心配かけて。すぐ仲直りするから! 」
「 だったらいいんだけど… 」
「 轟くんと名前ちゃんでも喧嘩することなんてあるんだねえ。なんか意外 」
「 わかる! 轟って、名前に対しては甘いイメージあるもんね? 」
「 えー、そう? あの人割とすぐ不貞腐れたり怒ったりするよ? 」
「 えー!そうなの!? 」
「 轟って王子様みたいなイメージある! 何を隠そう顔が良いんだよね轟! 」

みんな轟焦凍という人間をどんな目で見てるんだ…! ずっと一緒にいたから王子様とかそういう感覚ないなあ、顔が良いのはわかる

「 まって、しっ 」
「 ? 」
「 向こう側からなんか聞こえない? 」

「 峰田くん辞めたまえ! 覗きは立派な犯罪行為だ! 」

壁に耳をつければ飯田くんのクソデカ声が女子更衣室にまで聞こえた

「 オイラのリトル峰田はもうとっくに万歳行為なんだよ!! 」

「 まって、この穴 向こうに繋がってる? 」「 うわあ峰田くん気持ち悪い… 」「 響香ちゃんのイヤホンで峰田くんの目潰せそうでは? 」

「 八百万のやおよろっぱい! 芦戸の腰付き! 葉隠の浮かぶ下着! 」

わたしたちに筒抜けだなんて興奮してそんな考えないのか否か次々に饒舌に語り出す。やおよろっぱい……

「 麗日の麗日ボディに蝕喰の色白エッチボディ!! 蛙吸の意外おっぱーーーいッ!! 」

「 耳郎さん! 」
「 わかってる! 」

「 イギィャァァアアアッッ!! 」
「 耳郎さんのイヤホンジャック……! 」

うまく目に命中したのか 地の底を這うような叫び声と緑谷くんの冷静な解説が聞こえた。峰田くんって本当に変態の権化のような人だなあ

「 ありがとう響香ちゃん! 」
「 なんて卑劣…!! こんな穴、すぐに塞いでしまいましょう! 」

百ちゃんの個性で耳栓ならぬ穴栓(?)を作って中に埋めた。これで向こう側からこちら側が見えることはないであろう

「 百ちゃんありがとう流石 」

レオタード姿のままウロウロされるのは少々目のやり場に困るが

「 麗日の麗日ボディってなんよ… 」
「 蛙吸の意外おっぱい… 」
「 あたしなんて腰付きだよ〜!? どんなところ見てんのさー! 」
「 蝕喰の色白エッチボディってめっちゃなに… エッチボディってなに…? 」
「 ちょっとウチだけ言われなかったんだけどそれはそれでなんか嫌なんだけど…! 」
「 響香ちゃん… 」
「 耳郎さん… 」
「 響香ちゃん…… 」
「 そんな哀れんだ目でみるな〜!! 」





−− 翌日

「 えー そろそろ夏休みも近いが、もちろん、君らが1ヶ月休める道理はない 」
「 まさか!? 」
「 夏休み、林間合宿やるぞ 」
「「 知ってたよーーー!!!!! 」」

職場体験から一息つき、夏休みも近付いてきた私たちに迫り来るものはただ一つ、

「 ただし、その前の期末テストで合格点に満たなかったものは補習地獄だ 」

そう、1学期末テストである

「「 みんなー!頑張ろうぜ!!! 」」
「 クソくだらねえ 」