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−− 夏休み 2日目
「 名前〜! 」
「 わ〜ッ! ごめんみんな! 寝坊した…! 」
「 名前ちゃん髪の毛お団子にしとる〜! 可愛い似合ってる! 」
「 ありがとうお茶子ちゃん! 」
夏休みの間、長期の外出は控えるようにとの要請が学校側からあった。わたしらヒーロー科A組は2度も、敵と遭遇しているからである
新しい水着を買ったのに〜!と駄々をこねる三奈ちゃん。それならば学校のプールで遊ぼうよ!との話になり、女子全員で学校のプールで遊ぶことにした
「 この前のショッピングの時、名前だけいなかったからやっと女子全員で遊べて嬉しい〜! 」
「 わたしも! みんなと夏休み過ごせて嬉しい! 家にいても暇だったし! 」
プール、ということで着替えやすいワンピース。時折強めにふく風がワンピースの裾を容赦なく攻撃する
「 ビーチボール持ってきましたの! 膨らませてみなさんで遊びましょう! 」
「 わ〜! やおもも用意周到! 」
「 あ、わたし水鉄砲持ってきた! 」
「 17時まで時間あるしたくさん遊ぼう! 」
全員で揃って学校まで向かい、職員室へ行けば 相澤先生に「 元気だなお前ら 」なんて言われてしまった。先生が草臥れてるだけだと思うが
学校のプールはトレーニングとしても使われることがある。今日はたまたま、わたしたちが予約することができた。
「 ケロ… やっぱり、いつ見ても名前ちゃんは白すぎだわ。病弱っぽいわね 」
「 ほんとだね! 色白羨ましいなあ 」
「 全然丈夫だよ! それに 透ちゃんは色白とかいう話じゃないもんね…! 」
「 名前手足長くない? てかなんか身体のバランス…! 顔は小さいし、胸はそれなりにあるのに腰はしっかりくびれてるし手足長いし細いし… でも筋肉はちゃんとついてるし……! 」
「 あっはは 響香ちゃん褒めすぎ! それにわたし、腹筋割れてるんだけど、可愛くなくない? 女の子なのに腹筋バキバキって嫌じゃない? まあバキバキではないんだけど 」
「 足も筋肉質ですもんね…! でも足の形綺麗ですもん、気にならないですわ 」
「 わたしが男の子だったら名前ちゃんのこと好きになってたかもなあ 」
「 お茶男くん…? 」
「 お茶男!?!? 」
びっくりするお茶子ちゃんが可愛い…! 思わずむぎゅーっと抱きついてしまう。
そうして女子みんなで 学校指定のスクール水着に着替えていざ行かん
女子7人でプールサイドに行けば 何故か、男子が数人いた。A組全員集合……?
「 緑谷からメールあってよ、男子はプール使って筋トレすんだ! 」
「 へえ 筋トレ 」
身体、むきむきの人ばっかりなのに男の子はこれ以上むきむきになるつもりなんだ、怖… そのうち素手で缶潰しそう… あ、障子くんは既にできそうだけど
「 じゃあ女子のみなさんはまず、準備運動を致しましょう!一列に並んでください! 」
いち、に、さん、し、
に、に、さん、し、
プールというものは怖いもので、準備運動をしっかりしないと 急に発作を起こしてしまうこともあるのだ。なにせ冷たい水に浸かるスポーツであるから
しっかりと身体の筋肉を解して 準備運動をしていたところで、遅れてやってきた峰田くんと上鳴くんがスライディングをしながらプールサイドに突っ込んできた
「 あら、峰田ちゃん 」
「 上鳴も来てたんだ 」
「 おや、デクくんもだ〜! 」
峰田くん、上鳴くん、緑谷くんの3人がまた増えた。これで来ていないのは切島くんと、爆豪くんの2人。切島くんのことだから爆豪くんを無理やり引っ張って来そうだなあ
「 それじゃあみなさん!入りましょう! 」
7人で手をつなぎ、せーので水に飛び込む
水に飛び込むのは危険だから辞めましょうと小学生の時に先生に言われたのを思い出した
「 っぷはッ! 」
「 気持ち〜い! 」
「 プール久しぶりだあ〜! 」
プールに入るのいつぶりだろう…! 中学の時は水泳の授業がなかったし、友達とも市民プールとかに行った思い出がないからきっと小学校のプール授業以来かもしれない…!
水面にぷかぷか浮いて水を楽しむ、
あ、最高に夏休みしてるなあってなる
「 うわあ、男子まじで体力作りしてる 」
「 すごいねえ 」
「 てか轟すごい筋肉じゃない!? 」
「 水も滴るいい男〜! TSURAGA YOI〜! 」
「 上鳴とかも割と筋肉あるんだな 」
「 わかる! あと緑谷くんね。緑谷くん、個性自体が超パワーだからあんまり鍛えてないのかな?て思ったけど、やっぱ使いこなすには筋肉が必要なんだねえ 」
「 青山くんは普通やな…! 」
「 障子くんが断トツでヤバいな…!? 」
一般的な男子高校生の何十倍も筋肉質な同級生の上裸姿を見て感想を言うわたしらはそこらのおじさんと変わらないなあ? 筋トレしたり水の中全速力で走ったりして筋トレを頑張る男子諸君を尻目に、わたしらはビーチバレーを始めるのである
「 いくよ〜! えいっ! 」「 ケロ! 」「 それえ! 」「 え〜い! 」「 よっ! 」「 ほいっ! 」「 わっ!? えいっ! 」
「 待って待って水の中動くの難しいッ 」
「 足が全然進まないよ〜 」
「 ほいっ! パース! 」
「 アターーック!! 」
「 ギャァ!? ちょっと三奈ちゃん顔面は卑怯だけど!? 鼻潰れた! 」
「 名前ごめーん! 」
「 鼻変になってない!? 陥没してない!? 」
「 ケロ 大丈夫よ名前ちゃん、可愛いままよ 」
「 ククク…… 三奈ちゃん、仕返しだ〜! 」
◇
「 それでは位置について 」
峰田くん、常闇くん、口田くん、爆豪くん、そして上鳴くん。5人が真剣な眼差しでスタート態勢をとる
「 よーーい! 」
ピッ、という笛の音と共にみんな思いっきり水の中へ、…………?
「 爆速ターボ!! 」
水に入ることなく見事(?)1位になった爆豪くんが「 どうだモブども! 」といつもの如く口を開いた、ドヤ顔で。
「 どーだじゃねえ! 」「 泳いでねえだろ! 」「 自由形っつったろ! 」
いや自由形ってそういうことじゃねえ……
脳内で冷静にツッコミを入れてしまった。
飯田くんの発案の元、男子の中で全員で誰が一番速く50メートルを泳げるかという勝負が始まったのだ。全14人。5対5対4でわかれ、それぞれの優勝者が決勝戦へと進むいたってシンプルな内容である
あの後結局、切島くんが爆豪くんを連れてプールにやってきたのだ。わたしが思った通り…!
「 第2チーム! 位置について よーい! ピッ 」
青山くん、砂藤くん、切島くん、瀬呂くん、焦凍。ここのチームも案の定、爆豪くんに感化されたのかなんなのか、瀬呂くんがテープを使って水に入らずにゴールへ向かう。同じく、青山くんもネビルレーザーで、
が、青山くんの個性は1秒しかもたない。1秒で向こう岸に着くまでは困難であるとなぜ思わなかったんだろう… レーザーが切れて、瀬呂くんを巻き込んで水の中へ落ちた。その間に、焦凍が50mを滑り抜け(?)1位ゴール
「 だから泳げって…!!! 」
そして最終組、
飯田くん、緑谷くん、尾白くんに障子くんの4人
「 位置について よーい! ピッ! 」
「 飯田もかよ!? 」「 緑谷めちゃ速ェ! 」
3組目にしてようやくまともに(?)泳いだ緑谷くんが1位を決めてフィニッシュ。この人たち水泳の意味わかってるのかな…
「 すごい、誰が一番速く50メートルを泳げるのか競う争いがまさかの個性自慢大会みたいになるとは思ってなかった… 」
「 飯田くんも彼処の浮いてるところ使って滑り抜くとは思わんかった…! 」
「 決勝3人の中でちゃんと泳いでゴールしたの、緑谷ちゃんだけよ 」
「 各予選の勝者、爆豪くん、轟くん、緑谷くんの3人で優勝者を決める、それでいいか? 」
「 うん! 」「 ああ 」
「 おい、半分野郎… 体育祭時んみたく手加減すんじゃねえぞ、本気でかかってきやがれ 」
「 わかった 」
「 お前もだ! こンのクソデクッ!! 」
「 わ、わかったよ かっちゃん…! 」
爆豪くん、また2人に喧嘩売ってる…
いやもはや喧嘩というかなんというか… なんだろう、執念というか…!
カァカァと 烏が遠くでなく
嗚呼、もうこんな時間かあ 17時だ、
「 それでは 50M自由形の決勝を始める! 」
「 いったれ爆豪ー! 」「 相手殺すなよー! 」「 轟も負けんな! 」「 デクくんがんばれー! 」「 みなさん、ファイト! 」
……? 17時?
あれ、プールって確か、
「 位置について、よーい ピッ! 」
笛の音と共に一斉に動き出した3人の個性が消え、ジャポンっと勢いよく水の中へ消えた
「 なっなんだ!? 」「 個性が消えた!? 」
「 17時。プールの使用時間は たった今終わった。速く家に帰れ 」
ああやっぱり、相澤先生来そうだなあとは思ってたけど…! 時間ぴったりだ
「 そんな、先生! 」
「 せっかくいいところなのに…! 」
「 … なんか、言ったか? 」
「「 なんでもありませーーん!! 」」
プールの中に盛大に落ちた3人が少しだけ不服そうな顔をして上がる ( 少しだけ不服そうな顔をしているのは緑谷くんだけで、見えはしないが焦凍は大分不服そうだし、爆豪くんはキレてる )
ああ、夏だなあ、プール。
こうやってみんなと過ごす休日が、たまらなく好きだなあ。許されるのであれば、もっとみんなと一緒にいたいとわたしは願ってしまうのだ
≪ ◇ ≫