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「 なんで…ッ!? 」
「 うーん、お前はリストにあったなァ 」

洸太くんを助けたはずみで床に投げ出した身体がひどく痛んだ、… ッく、…!

敵と接触させないためにきたのに、ピンポイントで敵がいるなんて…! クソ、今ので携帯壊れた、みんなにここを知らせずにきちゃった……ッ

と、なると 前みたいな増援は望めない。一人だ。僕一人でなんとかこの敵を、洸太くんを守りきれるかどうか… じゃない! やるしかないんだ、…! 僕一人の力で…ッ!

「 だい、… 大丈夫、だよ 洸太くん。必ず助けるから 」
「 必ず助けるって? ハハハ! さすがヒーロー志望者って感じだなあ。どこにでも現れて正義ヅラしやがる。緑谷ってヤツだろお前? ちょうどいいや、お前は率先して殺しとけってお達しだ。じっくり甚振ってやっから 血をみせろ 」

ッくる!! ッ!速い…!!!

「 あ、いけねえ そうそう、知ってたら教えてくれよ。」

なんだ…? 僕たちに聞きたいことなんて何があるのか…? オールマイトの場所か…?

「 爆豪ってガキはどこにいる? 」

え…… かっ、ちゃん?

「 一応仕事はしなくちゃよお! 」

目的はかっちゃん、…!? なんで!?

「 答えは知らない、でいいかあ? いいなあ! じゃあついでにもう一つ! 蝕喰名前の居場所も知らねえかァ? 」

蝕喰さんまで…!? 敵の目的はかっちゃんと蝕喰さん…!? その二人!? 今回の敵の目的は僕たち生徒!? そしてこの二人が狙われている…!? なんで、どうしてッ!

「 こっちの答えも知らねえかァ!? ようし、じゃあ 遊ぼう!! 」
「 ッぐァ!? ゲホッ! 」
「 ハッハハハハ! 血だ! いいぜ、これだよ楽しいや! なんだっけ? 助けるんだろう!? なんで逃げんだよおっかしいぜお前! 」

あの筋みたいな個性、なんて速さ、なんて威力…ッ だめだ、かっちゃんと蝕喰さんのことは今考えるな、集中しろ、目の前の敵にッ!

「 スマーーッッシュ!! 」
「 なんだァ? それが個性か? いい速さだが 力が足りねえ! 」
「 ぐァッ!! 」
「 俺の個性は筋肉増強。皮下に収まんねえほどの筋繊維で底上げされる速さ、力ァ! 何がいいてえかって? 自慢だよ! つまりお前は俺の完全なる劣等型だ! 」

ぐ、…… めちゃくちゃな強さだ…ッ! シンプルな筋肉増強型の個性…、強いッ

「 わかるか俺の気持ちが!? 笑えて仕方がねえよ! 必ず助ける? どうやって! 実現不可の綺麗事宣ってんじゃねえよ自分に正直に生きようぜェ!? 」





ーー 5分前

ブラドに任せてでてきたはいいが… 敵が襲来だと? 内通者がいたってとか…? 今回の合宿場所の変更先はごく少数の限られた連中にしか伝わってないはずだ…… 考えたくはないが…

「 ッ マズイな 」
「 心配が先にたったか イレイザーヘッド? 」
「 ッ!? 」
「 邪魔はよしてくれよプローヒーロー。用があるのはお前らじゃない。ま、プロだもんなあ 」

先ほどの発火、こいつの個性か…! 使われたらたまったもんじゃねえ、

「 でねえよ! 」
「 ッぐ 」
「 目的人数配置を言え 」
「 なんで 」
「 こうなるからだよ 」

顔面に蹴りを入れ、敵をくみしきながらボキリと左腕を折る。骨が綺麗に折れる音がした

「 次は右腕だ。合理的に行こう。足までかかると護送が面倒だ 」
「 焦ってんのかよイレイザー 」
「 先生! 」
「 お前ら! 」
「 流石に雄英の教師務めるだけはあるよ。なあヒーロー。生徒が大事か? 」

コイツ、さっきの発火が個性じゃないのか?

「 守りきれるといいなあ、また 会おうぜ 」

そう言ってぐちゃりと泥に変わり果てる。クソッ 敵一人逃した、煽るだけ煽っといて逃げんじゃねえぞ

「 先生!今のは!? 」
「 中に入っとけ、すぐ戻る 」

クソッ、森が燃えている… そこにおそらくさっきのヤツの本体がいる。そこに行くまでに敵が何人いるか… マンダレイが把握しているのは2名、恐らくそいつらは今マンダレイたちと交戦している、ということはさっきの発火のヤツもいれたら3人、…

どうこう考えてる場合じゃねえな…!

「 ッ先生! 」
「 みどり、…!? 」

右腕があざ黒く変色した緑谷、
こいつまさかまた自分の個性制御せずに敵と交戦しやがったな

「 先生、良かった 大変なんです、伝えなきゃいけないことがたくさんあるんですッ 」
「 おい 」
「 とりあえず僕はマンダレイに伝えなきゃいけないことがあって 」
「 おいって」
「 洸太くんをお願いします 」

こいつ、… ハイになってやがる

「 お願いします! 」
「 待て緑谷。その怪我、またやりやがったな。保須でのこと、忘れたのか 」
「 あ、… いや、でも 」

指摘すればしどろもどろになる緑谷。だが今ここで、緑谷を叱っている暇なんかねえ。おそらく、またなんらかの理由があって交戦したんだろう、…

「 だから、マンダレイにこう伝えろ 」


過ぎ去る緑谷の背中を見届け、洸太くんを背中に背負い元来た道を、宿舎へ戻る

『 なあ ヒーロー。生徒が大事か? 守りきれるといいなあ 』

あの言い草は完全に生徒がターゲット。ならやむを得ないだろう、生存率の話しだ。自衛の術を…。後で処分受けんのは俺だけでいい

緑谷にすぐ戻るように伝え忘れた、マズイな 報連相のほの字もねえ。今のあの状態で動いていられるのは エンドルフィンドバドバ状態だからだ。目的を達成したら落ち着いて動けなくなっちまうぞッ

「 ……おじさん、あいつ 大丈夫かな… 僕、あいつのこと殴ったんだ。ッなのに、あんなボロボロになって助けてくれたんだよ、… 僕まだ、ごめんも ありがとうも言ってないんだよ…ッ あいつ、大丈夫かな 」
「 … 大丈夫。あいつだって死ぬつもりなんかないからボロボロなんだろ。でも俺は、教師として葛藤した緑谷を叱らなきゃいけない。…… だから、この騒動が終わったら言ってやってくれ。できれば、ありがとうの方に力を入れて… 」

ヒーローが一番嬉しい言葉、
ごめんなんかより ありがとうの方に力を入れて言われれば それだけで救われる仕事なんだ、プロヒーローっつうのは…





「 くっそ… 」

周りに立ち込めるガス。恐らく毒の類が入っている。マスタードガスか何かだろうが…

「 このガスも敵の仕業か… 他の奴らが心配だが仕方がねえ。ゴール地点を避けて施設へ向かうぞ。ここは中間地点のラグドールに任せよう 」
「 指図してんじゃ…ッ!? 人、? おい、俺らの前誰だった 」
「 常闇と、… 障子 」

辺り一面血の海。手首だけが落ちていて、敵と思われる人物がボソボソと独り言を喋っている

「 綺麗だ、綺麗だよ… だめだ、仕事だ見惚れてたいけない、… 綺麗な肉片… 嗚呼もう誘惑すんなよ、仕事しなきゃ 」

「 な、…ッ 」
「 戦闘、すんな だァ!? 」
「 まて爆豪ッ!!! 」

B組のヤツを背負いながら、敵の個性からなんとか逃げ回る。氷の壁を作って攻撃を避け続けてるが、これもいつまで続くか…

「 逃げ場がねえな… 」
「 どっけ邪魔だ半分野郎! こんなクソ雑魚さっさと俺の個性で 」

バチバチと火花を散らしながら戦闘態勢に入る爆豪。俺たちにまだ戦闘許可は降りていない。むやみに個性を使うことは…

《 A組B組総員! プロヒーローイレイザーヘッドの名において、戦闘を許可する! 繰り返す! A組B組総員! 戦闘を許可する! 》

「 ッ! クソが! くらえ雑魚!! 」
「 ァア… 血、肉、… 肉片、… 」
「 話通じねえんかコイツは!! 」
「 爆豪!落ち着け! 戦闘許可は降りた、が 逃げるのが優先だ! 」
「 逃げてられっかよ! 逃げたきゃテメェだけ逃げろや舐めプ野郎がッ! 」
「 爆豪ッ!!! 」

今にも爆発しだしそうな爆豪を宥めようと 再び、氷で敵との間に壁を作るとまたびりびりと背中にマンダレイのテレパスが通った

《 敵の狙いの一つ、判明! 狙いは生徒のかっちゃんと蝕喰さん! かっちゃんと蝕喰さんはなるべく戦闘を避けて! 単独では動かないこと! わかった!? かっちゃん、蝕喰さん! 》

「 かっちゃかっちゃうるっせぇんだよ 頭の中でよォ! 」
「 不用意に突っ込むんじゃねえ! さっきの聞こえてたか? お前、狙われてるんだってよ 」
「 クソデクが何かしやがったなオイ 闘えっつったり闘うなっつったりよォ!? ァア!? くっそどうでもいいんだよ! てか舐めプ野郎! てめえは腐敗女のトコにいかんくていいのかァ!? 」
「 ッあいつは補習組で安全な宿舎内にいるはずだ、…! それに、狙われてるお前を一人にできるか!! 」
「 ッハ! 勝手にしろや! 」

敵の個性、歯齦…? 使い方がうめえ。さっきから俺の氷結をいとも簡単に避けている

「 ッ地形と個性の使い方がうめぇ! 」
「 見るっからに雑魚のヒョロガリの癖しやがって! あの野郎! 」
「 相当の場数踏んでやがる! ここででけえ火ィ使って燃えうつりでもすれば 火に囲まれて全員死ぬぞ! わかってんな!? 」
「 喋んな! 分かってんわ!! 」
「 向こうに行こうにもガス溜まり、… こりゃあわかりやすくら縛りかけられてんな…ッ 」