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『 いつか必ず、ヒーローは来る 』


山奥、ポツンと建つ一軒家。
周りに民家なんかなくて あるのは広大な森

まるでお伽話の中に出てくるような、そんな小さな一軒家に わたしは居た

怒るとちょっと怖いけど 優しい父親に、
美人でなんでも知ってる 大好きな母親。

家族3人で、ひっそりと 仲良く暮らしていた

山を降ればそれなりに大きな街があって、そこには色んなものがある。コンクリートでできた大きな建物に、騒がしい二輪の音。お洒落なご飯にカラフルなお菓子。

でもそれは わたしとは違う世界の話

わたしは世界に、見つかってはいけなかった





「 よく戻って来てくれたよ敵連合 」

黒霧の靄から足を踏み出して周りを見ればそこは 神野にあるいつものバーだった。

死柄木弔がこれまたいつものように カウンターに座りながらわたしたちを出迎えたのだ。

開闢行動隊の面々はそれぞれ好きな配置に。わたしもトガヒミコに強く手を握られ、死柄木が座っている位置にほど近いカウンターに腰を下ろす

「 ああ、ようこそ 爆豪勝己くん 」

未だ、荼毘に首根っこを掴まれ微動だにしない爆豪くんを歓迎すると死柄木は言うが、歓迎する気なんてないだろ

死柄木の挨拶にガン無視をキメる爆豪くん。

「 おいおい無視かよ雄英生。年上は敬えよ… まあいい。おい荼毘、名前、爆豪を拘束しろ 」
「 え、」
「 ッは? 俺がこのまま黙ってクソカスの言うこと聞くと思ってんのかァ!? 」

バチバチと個性をチラつかせる。ぐっと首を掴む荼毘の手にも自然と力が入り込む。そうして数分、緊迫した状況がバーに流れる。

「 " 怪しい動きをしたと俺が判断すれば " 殺したっていい、なあ? 爆豪くん 」

『 動くなあ!怪しい動きをしたと俺が判断したら、すぐ爆発してやる 』

USJの時の彼の言動とダブる。他人の嫌がることをやるのが悪党だよなあ、それをしっかりと心得てるではないか

流石にこの状況で1人暴れ出すほど彼も頭が悪いわけではない。順応しろ、この状況下で何が一番正しい判断であるか、考えろ

考えることを、辞めないで。

爆豪くんはヒーローになれる、
だから こんなところで終わらないで。

「 名前、爆豪を拘束しろ 」

言葉が重い、有無を言わせないその眼差しでわたしの方を見やった死柄木。

わたしに爆豪くんを拘束させるということは、わたしが完全に敵連合の仲間であると、自分で目の前の彼に証明しろと、?

「 轟焦凍がどうなってもいいのか? 」

嫌、ーー そういう前に荼毘からその言葉が紡がれた。ずるい、人が嫌がることを心得てる、汚い。その名を出されてしまえばわたしがどうすることもできないことを、わかっている

つい数時間前までは、クラスのみんなとご飯を作って、馬鹿みたいに楽しい時間を過ごしていたのに、たった数時間でこんな地獄のようなことになるなんて、

重たい足取りで一歩一歩爆豪くんに近づく。わたしを睨むその目がたまらなく嫌だ、

「 ごめんね、」

何に対しての謝罪であるのかわからないまま、彼の手に触れて個性を封印する。このまま個性を奪ったっていい。個性を奪っちゃえばきっと爆豪くんも、解放される……

でも そうすることができないのはわたしが、心の何処かで彼が立派なヒーローになるところを見たいと思ってしまっているから。

ヒーローになった彼が、活躍するところを見たいと思ってしまっているからなの、

「 ごめん、ごめんね、…… 爆豪くん 」

許さなくていいから、どうか 嫌わないで