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「 蝕喰さん!一緒にご飯食べよー!」

ピンク色の、… 確か、芦戸さん、が 大きく手を振ってわたしの名前を呼んでくれる

入学2日目、午前は普通の高校生と何にも変わらない座学を受けて、午後からヒーロー基礎学の日。プレゼントマイクの英語の授業が思ったよりも普通だったので少しびっくりしてしまった

「 うん!誘ってくれてありがとう 」
「 いいのいいの!みんなで食べた方が美味しいでしょ!あ、おーい!2人ともー!蝕喰さん連れてきたよー! 」

入学2日目にしてこのコミュ力、女の子はすごいなあ、なんて思いながら輪の中に入っていくと、そこにはわたしと芦戸さんの他に2人いた

「 蝕喰さん!私、八百万百と申しますわ。どうぞ宜しくお願い致します 」
「 ウチは耳郎響香、よろしくね 」
「 うん、よろしくね蝕喰名前です。あんまり苗字が好きじゃないから、名前で呼んでくれると嬉しいな 」

はにかんでそう言えば、3人ともビシッと固まってこっちを見る

「 ? ど、どうしたの? 」
「 笑った顔めちゃくちゃに綺麗だね? なんか美人だしちょっと大人っぽい雰囲気纏ってたから話しにくいなって昨日は思っちゃったけど、そんなことないわ 」
「 名前さん、笑った顔も綺麗ですわ 」
「 か〜わい〜〜!!! 」

わちゃわちゃ騒ぎ出す3人が面白くて、また笑ってしまう。大丈夫、上手に取り繕えてる

「 3人も、可愛いよ 」





ランチラッシュのご飯は美味しかった。残念ながらお寿司はなかったけど、オムライスを頼めば卵がふわっふわで、口の中でとろけてしまった。わたしもあんな感じのオムライス作れるように頑張ろう〜、なんてお腹いっぱいで午後1の授業を待っていると、ドドド と地鳴りが聞こえてくる

「 わーたーしーがーー!! 普通にドアから来た!!!! 」

黄色い髪の毛が特徴的な、ムキムキの身体のラインを惜しむことなく出したヒーローコスチューム。あ、来た。わたしが憧れた人が、

「 わたしの担当はヒーロー基礎学!ヒーローの素地を作るため、様々な訓練を行う科目だ!単位数も最も多いぞ〜! 早速だが、今日はコレ!戦闘訓練! 」

「「 ( ヒーローっぽくなってきた!! ) 」」

早速ヒーローっぽい。最初の授業から戦闘訓練なんて流石。やっぱり百聞は一見に如かず、じゃないけれど、身体を使った方が身につくし…

「 ここで君たちにいい知らせだ!入学時に送ってもらった要望に沿ってあつらえたコスチュームが届いている 」

入学前に、予め自分のコスチュームについての要望の紙は学校に申請してあった。そのコスチュームはもうできているそうで、壁から勝手にコスチュームが入った棚が数列出て来た。それぞれの出席番号が書かれたスーツケースを取ればいいだとか… 世の中ハイテクだなあ

20、と緑色のデジタル数字を見つけて手に取る

「 それに着替えてグラウンドβに集合だ 」

オールマイトのその指示に従って返事をし、女子はみんな揃って更衣室へ向かった


「 いいじゃないかみんな! かっこいいぜ! 」

制服や体操服とは違った、それぞれのコスチュームに身を包んだみんなは、どこか浮き足立っていた。そわそわしていた、というか…

あ、あの昨日ソフトボールすごかった男の子… 確か、爆豪?くんだっけ。爆豪くんのコスチュームかっこいいなあ。腕に何つけてるんだろう手榴弾?彼の個性をなにか助ける小道具なのかな? あの派手な赤髪の男の子の衣装、凄いギリギリ攻めるなあ… あ、女子ではダントツ百ちゃんが攻めてるけども

凝ってるコスチュームを見て、よくそんなアイディア出たなあ、なんて感心してしまう。わたしはヒーローコスチュームを考えるにあたって、ひどく頭を悩んでしまったから。焦凍の部屋で頭を抱えながら考えたのだ

唸るわたしを横目に、さっさと決めてしまった焦凍に助けを乞うたところ、「 余計なものをつけないで身軽が1番だろ 」という焦凍の一声でシンプルなものにした

結局わたしのは動きやすさを重視しまくった結果のコスチューム。ボディラインが鮮明に浮かび上がっている。伸縮性のあるレザーの生地を使用して、スキニーパンツにヘソ出しのチューブトップ、上着。全て黒で統一。まあ 見た目も悪くないと思う。ただ靴だけは赤のショートブーツにしてワンポイントを入れてしまったけども

「 さあ、戦闘訓練のお時間だ! 」
「 先生!ここは入試の演習場ですが、また市街地演習を行うのでしょうか? 」
「 いや、今日はもう二歩先に踏み込む。敵退治は主に屋外で見られるが、統計的には室内の方が凶悪敵出現の確率が高い。監禁、軟禁、裏商売…… このヒーロー飽和社会、真の賢い敵は闇に潜む。君らにはこれから敵組とヒーロー組に分かれて、2対2の屋内戦を行ってもらう! 」
「 基礎訓練なしに!? 」
「 その基礎を知るための実践さ! 」

基礎も学ばずにいきなり実践、オールマイトが言うとなんだかいやに説得力がある

核兵器の争奪戦を想定した戦闘訓練、ヒーロー側は敵の居る位置と、核の位置はわからない。より早い、より正確な判断をしなくてはならないということか

2対2、? …… と、いうことはA組は21人クラスだから…?

「 オールマイト、質問いいですか? 何処かのチームが3人になるということですか? 」
「 いい質問だ蝕喰少女!そうだ!今年は21人と奇数だから一組だけだ3人になる!どこが3人になるかはその時の運任せだ! 」

なるほど。組み分けと対戦は厳正なくじ引きで行われる。なので本当に誰が3人グループに入れるかはわからないし、運次第、ということだ

個性の相性がいい人とがいいなあ…。ちなみに、焦凍の氷の個性とわたしの個性は相性が酷く悪いので、共同作戦とかは無理だと思って居る

「 みんなの個性が明確にわかるから楽しみだね!名前の個性も見るの楽しみだよ〜! 」

ワクワクしながらくじを引く三奈ちゃんに話しかけられる。冷静な顔をして、貼り付けた笑顔で答える

「 わたしの個性、みんなに自慢できるようなものじゃないから楽しみにしない方がいいよ 」


厳選なるくじ引きの結果、ペアと対戦相手、敵ヒーロー全て決まった

1戦目
ヒーロー側 : 麗日さん 緑谷くんペア
敵側 : 飯田くん 爆豪くんペア
2戦目
ヒーロー側 : 焦凍 障子くんペア
敵側 : 尾白くん 葉隠さんペア
3戦目
ヒーロー側 : 蛙吹さん 常闇くんペア
敵側 : 峰田くん 百ちゃんペア
4戦目
ヒーロー側 : 口田くん 砂藤くんペア
敵側 : 切島くん 瀬呂くん、わたしの3人ペア
最終戦
ヒーロー側 : 上鳴くん 響香ちゃんペア
敵側 : 青山くん 三奈ちゃんペア

切島くんと、瀬呂くんの個性はなんだったかな… 彼らの邪魔にならないといいけども

「 よろしくね、切島くん 瀬呂くん 」
「 おう!よろしく頼むな!蝕喰! 」
「 よろしく蝕喰! 」

仲間の2人に挨拶を酌み交わして居ると、早速、初戦である麗日緑谷vs飯田爆豪戦が始まった