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1戦目 麗日緑谷vs飯田爆豪
ヒーローvs敵、というよりは緑谷くんvs爆豪くんの個人的な喧嘩。爆豪くんが一方的に何か色々ぶつけているみたいで、次第にそれは ヒートアップしていく
そんな光景を観客席から −−というよりはモニータールームという方が正しいか−− クラス全員がその戦いの行方を見守っていた
「 なぁ、どっちが勝つと思うよ? 」
「 俺は爆豪・飯田組だな。入試じゃ、ツートップだったし 」
「 …… 確かに、爆豪くんの個性は戦闘向きの派手なやつだしね 」
でも緑谷くんのあの目、諦めていない人の目だし、それにさっきから緑谷くんは確実に爆豪くんの直接攻撃を避け続けているし…
「 爆豪さんは爆破、飯田さんは脚のエンジンによる高速移動能力、麗日さんは物体の無重力化、でしたわね 」
「 そういえば緑谷の個性ってなんなんだろ 」
「 この前の見たら、超パワーっぽかったと思うけど 」
「 この前飯田は肉体活性、とか言ってたぜ 」
飯田くんや爆豪くん、麗日さんの3人はこの間の体力テストで見てわかった通り。多分、おそらく緑谷くんは超パワー系だと思うけど…
どちらにせよ、この2人と対決じゃなくてよかったなあ…間違いなく負けていた、と思う
一方、飯田くんと麗日さん、
飯田くんは自分が敵になりきることに葛藤していたがやはり彼の根の真面目な性格のせいか否か、そこはしっかりと腹を括って敵になりきっていた。そんな飯田くんを見て笑う麗日さん
「 …飯田くん、頭がいいのね 」
「 ?どういう意味だ蝕喰 」
「 この部屋、殺風景だと思わない? 飯田くん、麗日さんの個性に対応すべく、この部屋、このフロアにあるものを全て排除しているみたい… 浮かせるものがなければ麗日さんにあまり勝ち目はないかな 」
「 うっわほんとだ… てかそれに気づく蝕喰もよく見てんな 」
この訓練のタイムリミットは1組15分、あともうほんの数分で終わる。このまま膠着状態が続くとやっぱり勝つのは敵側…。こういう時どうするの、ヒーローは?
恐らく飯田くんと麗日さんの方はまだ動かないだろう、と思い 再び緑谷くんと爆豪くんの方へ視線を移す。バチバチと爆豪くんの個性が容赦無く緑谷くんに襲いかかる
ふと、ゆっくりと、爆豪くんが片腕をあげ、そのまま緑谷くんに向ける。わたしがかっこいいなあなんて思っていた手榴弾の形をした小手には、本物のような安全ピン、そして照準を定めるためのスコープが、…
《 テメェは要望を出してねぇらしいからねぇだろうが、ヒーローのスーツは特殊なチューニングも依頼できるのは知ってるよなぁ? 》
そういって もう片方の、空いている方の手で安全ピンにゆっくりと手をかける爆豪くん
《 こいつが俺の要望通りの作りになってるなら、時間が経てば経つほどこいつの中の爆発力が上がってるってわけだ……この意味、分かるよな? 》
スクリーン越しにでもわかる彼の殺気を帯びた鋭い視線、… スクリーン越しにも関わらず、わたしが向けられているわけでもないのに、思わず背筋が凍る
「 待ちたまえ、爆豪少年!それは危険すぎる!殺す気か!? 」
当たらなきゃ死なない、なんていう屁理屈でオールマイトの制止の声も聞かず、容赦無く安全ピンを抜き放った
−− 刹那、恐ろしいほどの爆音が覆った
モニタールームにいるわたしたちが唖然と口を開けている間にも、まだまだヒートアップしていく爆豪くん、緑谷くん
「 これ、やばいんじゃねぇか!? 」
「 このままではどちらも大怪我をしてしまいます! 」
「 止めた方がいいんじゃねぇのか!? 」
切島くんを皮切りに、次々と口を開くクラスメイトたち。確かに、このままじゃ緑谷くんは、最悪の場合 取り返しのつかないことになってしまうかもしれない…
爆豪くんが、ここまで緑谷くんに執着して完膚無きまでにズタボロにするわけはなに? 嗚呼、多分、きっと、わたしたちが知らない2人があるんだ
そして爆豪くんがもうひと爆発、
それにすかさず反応した緑谷くん、腕を真上に掲げてそのまま風圧でぶん殴ったのだ
《 デトロイト……… スマッシュ!! 》
突風が巻き起こって、核がある部屋まで貫通。そして飛び散るコンクリートの破片を麗日さんが個性で操り、ホームラン!なんて言いながら飯田くんへ容赦無く攻撃
《 確保!!! 》
飯田くんが怯んでいる間に麗日さんが核へ飛びつき、こうして初戦はヒーローチームの勝ちで幕を閉じた
◇
続く第2戦、障子轟vs尾白葉隠
初めのコールが鳴った瞬間、障子くんが建物の中に入り、自身の個性で敵側の位置を把握しだした。そして 焦凍と建物から距離を取った時点でわたしは全てを悟った。この戦いはヒーロー側の完膚無きまでの勝利である、と
焦凍の右手が建物に触れた瞬間、全てが氷漬けにされた。瞬きする間もなく、敵側の尾白くんと葉隠さんが動く間も無く、終わったのだ
「 チートかよ… 」
左手で核に触れて、氷を溶かす焦凍の後ろ姿がなんだか酷く、小さく見えた
第3戦、蛙吹常闇vs峰田八百万
百ちゃん、峰田くんは大変危険 ( 経験済み ) なので気をつけてね、… なんて心の中で願ったが、峰田くんは緊張しているのか否か、不自然なオーラを出しているだけだった
百ちゃんの個性で捕縛テープを創造し、それを峰田くんに渡して仕掛けるように言うが、なにを勘違いしたのか、峰田くんはその捕縛テープを自分に巻きつけ始めたのだ。それをみた百ちゃんがすかさず突っ込みを入れる
敵側がわちゃわちゃしているうちにヒーロー側はあっという間に核の場所まで辿り着き、敵側の視線が逸れている間にいとも簡単に核に触れた
ヒーロー側の勝利
「 さあ次は砂藤少年口田少年ペアと、切島少年瀬呂少年、そして 蝕喰少女ペアの番だ! 」
肩を落として帰ってきた百ちゃんに「 頑張ってくださいませ 」と応援を頂いたので、わたしも「 百ちゃんも、お疲れ様 」とだけ返した
建物まで向かってる間に、この戦いの作戦を考える。コミュニケーションを取るのも大切だもんね、
「 切島くんと瀬呂くんは、砂藤くんと口田くんの個性は何か把握してる? 」
「 砂藤は増強型だぜ。シュガードープ?つって、糖分摂取で増強するらしいぜ。口田は…… 」
「 わり、口田はわかんねえわ 」
「 それより蝕喰の個性教えてくれよ!昨日の個性把握テストでお前個性一回も使ってなかっただろ? 」
「 わたしの個性は昨日のような活動にはあまり有効的に使えないから…… 」
そこまで言って足を止めた
人差し指だけ突き立て、右手をグッと握る。突き立てた人差し指を円を描く様にゆっくりと動かすと、指先からドス黒い靄がじわじわと現れる
それが不思議だったのか、2人ともその靄を食いつく様に見るものだから、少しだけ驚いてしまった
「 " 腐蝕 " って言って、この手で触れた物を腐らせてしまう個性なんだ 」
「 腐蝕…? 」
「 それって、なんでも腐らせちまうのかよ 」
「 そう、… 嗚呼、でも 個性のコントロールはできてるし、わたしの手に触れたからって腐るわけじゃないよ。発動すれば腐るだけで… 」
慌てて、普段は危険じゃないことを付け足して自分でフォローする
切島くんも瀬呂くんも、「 へえすげえ〜 」なんて呑気に言う
ここではこう言う反応があるんだ、なんて今までにはなかった反応に吃驚しつつ、個性の発動を止めた。そして再び足を動かし、訓練場まで作戦を立てながら向かった
「 っしゃぜってえヒーローに勝つぞ! 」
「 おー!! 」
「 おー! 」
≪ ◇ ≫