向かって左の監督生
美しい。
アブラクサス・マルフォイは、無意識にそう呟いた。
少女を初めて目にした時、アブラクサスは息が詰まった。
少女の美しさに。そしてその、儚さに。
ああ、彼女は
「睫毛まで、白いのだな」
祈るようにして目を瞑る少女の顔は、その頬と鼻筋が薄っすらと紅く唇は桜色で、他の色は抜け落ちていた。
睫毛や眉に至るまで白い、珍しい容姿をしたこの少女に誰もが驚いたが、その黒く輝く瞳は人をもっと驚かせた。
まるで、黒く煌めく黒曜石の様だ…
その瞳を、近くで見ることが叶いますよう。
アブラクサスは、少女がスリザリンに来ることを心の中で祈った。しかしそんな願いも空しく、少女はレイブンクローに選ばれた。
アブラクサスをはじめスリザリン生は肩を落としたが、それを聞いた少女の顔は一段と輝き。その可愛らしい笑顔が見られるならば良かったのかもしれない、と、普段のアブラクサスでは考えないような事を思った。
ちらり、とリドルを盗み見れば、先程の驚きとは変わり珍しいものを見る様な顔で、少女を見ていた。