向かって左の二人@
教員席から生徒へ向かって、左端。
そこは緑が集まる、スリザリンのテーブル。
「なぁ、リドル。あの子をどう思う。」
その一番奥に座る“蛇寮の首領(ドン)”アブラクサスは、ポツリと尋ねた。
「そうだな…、とても興味深い、とでも言おうか。
あの真っ白な外見もそうだが、あの真っ黒な瞳が特に。」
リドルはアブラクサスをちらりと見たが、振り向くことなく答えた。リドルにしてみれば、少女は確かに整った顔立ちをしているし可愛らしさもあったが重要なのはそこでは無かった。
リドルが興味を引かれたのは、真っ白な髪とは正反対に輝くその瞳。マグルには有り得ないその色彩は美しさと同時にどこか異様な、神秘的な雰囲気を纏っていた。
だからこそ、心奪われていないからこそ、リドルは冷静に周囲を見渡せた。
見たところ、アブラクサスは目を奪われている様だな。
…これは、ご執心か?
「…ハァ…」
リドルは思わず溜息を吐いた。
アブラクサスが“首領(ドン)”などと呼ばれているのは、何も監督生だからというだけではない。そのいつも緩く湛えた笑みの下に渦巻く、野心や執着を恐れられているのだ。
リドルにももちろん隠した野心は有りまくりだが、アブラクサスのそれはリドルと違い、時に人にまで及ぶ。
これから起こるであろう事を予測し、リドルはアブラクサスの視線の先を見ながら再び溜息を洩らした。
−最初の晩餐−