視線
「クリス、シャーリー、おんなじ寮になれて良かった!」
少女ーステラは左隣にいる双子を見て、輝く笑顔で言った。それを聞いて喜ばない筈がない二人も嬉しそうに、ステラの頭をクシャクシャと撫でた。
「ステラ、これだけ教えておくわね。」
「ん?」
「レイブンクローは談話室に入る時、謎解きが必要になるわ。だからなるべく、誰かと一緒に行動した方が良いの。」
「そうなの?わかった!」
シャーロットから注意点を聞き、しっかりと記憶に刻む。
“いつも誰かと一緒に”ね、おっけー!
そう返せば、今度はクリスが口を開いた。
「あと、忘れ物も厳禁だぞ。塔の上にあるのに謎解きまであるんだ。クィディッチの時に忘れ物なんかしたら、恐ろしいぞ〜…」
わざとおどろおどろしく喋るクリスにステラは何それぇ、と笑ったが、シャーロットが付け足したことでクリスがたじろいだ。
「クリスは経験が有るものね」
「え、そうなの?クリスだっさ」
「んなっ!?ちょ、言うなよ!」
よよよ…と傷ついたフリをするクリスにシャーロットは引いた様な視線を向けたが、ステラが思わずプッと吹き出すとシャーロットもそれに続き、結局三人で笑い合った。
「!、………?」
その時、
ステラは何となく視線を感じて振り返ったがそれらしき人は見当たらず、ステラは首を捻りながらも、まあ良いか、と双子へと向き直った。