闘神太子

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「観世音菩薩に泣きつき獄中で悠久の時を過ごすのか?」

「……それで償えると言うのなら甘んじて……」

「ならばここで宣言しろ。一度として世に出た事のないこの赤子達の前で、この者達の存在は愚行の末の産物だったと!」


今更何を言ってもただの戯れ事。徐々に退路を断たれては絶たれた。


「お前が居なければこの者達は生涯このまま。上層部に引き渡たせば一日ともたぬだろう」


次から次へと浴びせられる言葉は、憔悴した私の頭を縦横無尽に駆け巡り、この苦虫と一緒に舌を噛み切ってしまいたくなる。


「我が息子の付き医者となり、この者達を世に出すべく尽くすか、己の罪悪感の軽減と引き換えにこの者達を見捨てるか」


握り締めた拳に爪が食い込み、独特の臭いが鼻腔を掠める。私にまだこんな力が残っていた事には驚いたが、李塔天様の前ではなんの役にも立たない。


「さあ選べ。お前が償うべき相手は誰だ?」


ここまで大きくなってしまった背徳の代償。李塔天様の言う通り、私が償うべき相手はここに居る罪無き者達。そして、この者達を生ける者に出来得るのは他でもない、私だけ。


「李塔天様……」

「何だ?身の振りは決まったか?」


利用されているのは百も承知。しかしこの者達に安寧を齎すにはそれなりの立場も必要不可欠。


「はい。……仰せの通りに」


自ずと知れた浅はかな道。

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