罪重ねるは存在理由
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金蝉と二度ぶつかった後、たまたま擦れ違った軍人がナタクは既に出陣への準備に入ったと話しているのを聞いた白羅は、溜め息を吐きながら自室へ向かおうと金蝉に会釈する。
後できっちり言っておかねばと怒りを押し込め、金蝉に背を向け、足早に歩き出す。
白羅は引け目を感じていた。例え相手が自分の過去を知らずとも、現在も罪を犯し続けている白羅は人との接触に引け目を感じ、直ぐさまその場を離れて行く。
そして、あの自室に篭っては、また画面に向かう。
本来の仕事場であった医務室へは軍が帰って来る頃には待機をしてはいるものの、今では別の軍医が常駐している為、白羅はすっかりナタクの付き医者となっている。
しかしその一方では、以前のレッテルは貼られたまま。今では一目置かれる地位に健在する李塔天によって一応は口止めをされているが、実情を知る者達からは未だ煙たがられ続けていた。
彼女の自室を訪れる者は、李塔天の使いの者かナタクだけ。幸か不幸か、白羅を表立って邪魔する者は居なかった。
そんな彼女が画面に向かう姿を、桜の木の下で紫煙の陰から覗いていた二人──天蓬元帥と捲簾大将だったが、その窓際にいつも変わらずある横顔は、最早風景の一部となっていた。
「天蓬、賭けるか?」
「それ勝負になります?」
「……だよな」
今日も窓際の彼女は振り向かない。
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