遠い極限
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李塔天様の本日の予定と照らし合わせながら、不自然にならないようにナタク様と悟空に付き従う。もちろん警戒するべき事柄はそれだけではない。
唯一殺生が許された闘神太子と、人でも妖怪でも神でもない、大地が産み落とした異端の存在である斉天大聖。それに伴っているのが罪人であるこの私だと言うのだから、あらゆる所に誰のものかもわからない耳目が多数存在しているはずなのだ。
「悟空ー!ここ、俺の隠れ家。ここなら誰にも邪魔されずに遊べるぞ!」
「うわー!食いモンもあるじゃん!」
ナタク様が予てより隠れ家として使っている場所に案内された悟空は、それがとても特別であるかのように目を輝かせる。
「ここにある物はご自由にお使いください。もちろん、食べ物も自由に食べていただいて構いませんよ。他にも何かお望みの物がございましたら、出来る限りご用意いたします」
「ほんとかー!!」
「あぁ!白羅がいいって言えば安心だぞ!」
飲み物とお菓子を並べたテーブルを前に、二人は昔から友人であったかのように話し始める。時偶お互いに冗談を交え、ふざけ、からかい合い、何度も何度も笑っていた。
関わる人は数々居れど、闘神太子に友人と呼べる者が現れたこと、それを僥倖と呼ばずして何と言えよう。年相応の付き合いを知らずにいたナタク様にとって、この悟空という存在は実に奇特だ。
きっとそれは悟空からしてみるも同じ事が言えるのかもしれない。同じ目線で何の先入観も無く接することができるのは、この天界でお互いにお互いだけなのだと思う。
「今度ここで白羅に飯作ってもらおうぜ!白羅の料理、すっげーうまいんだぞ!」
「まじか!まじか!まじか!俺も食いたい!」
な、いいだろ?というナタク様の視線に微笑み返す。断る理由などあるはずもない。私はただ、償い、願い、叶えられることは叶えて差し上げる。それが私が私で在るための理由なのだからと、ナタク様と悟空に頷き返した。
「悟空は何か好きな食べ物はありますか?」
「うーんとね、うまいもの!あとね、金蝉がくれるリンゴ!」
「ふふ、そうですか。これは腕に縒りをかけねばなりませんね」
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