残るは虚無

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俺の法衣をキツく握り締め、膝をついて声を殺して涙するなまえ。



俺はこいつのこんな姿が見たかったんじゃ無ぇ。

一緒に居て何を思う様になったかは知らねぇが、こいつの中に植え付けられた糞野郎共が許せねぇ。


最初に感じたこいつの笑顔の心地よさが俺の心に染み付いて離れねぇように、虫ケラから受けた屈辱がこいつを殻に閉じ込めてんだ。



拒まれることばっかりで受け入れられる事を知らねぇが為に、過去ごと閉じこもってんなら……。



その過去ごとぶち壊してやるよ。



「……立てよ」



返事する隙もあたえずなまえを立たせ、涙の筋が幾重にも光るなまえの顔を真っ直ぐに見据え、なまえが逃げない様に壁際に追いやり唇を重ねた。



虫ケラに何度となく重ねられたであろうなまえの唇から、漏れたのは甘い吐息では無く嗚咽だけで、俺は一瞬戸惑った。



――ドンッ!



その隙をついてなまえは俺を押し返し、見たこともない顔をして部屋を飛び出して行ってしまった。



唇が触れた感触はあっても、この手の中にあいつの温もりが無ぇ。



それじゃ駄目なんだ。
解ってんのに……。



お前を置いてく気なんざ微塵も無ぇよ。



そう言ってやれば解ってくれんのか。

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