残るは虚無
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掻き毟っても掻き毟って振り払えない。
何であんな事したんだよ。
わたしにとってキスなんて挨拶程度の意味すら持ってないのに。
何でこんなに唇が熱い?
いつだって気を許せば蟲が這い出るのに。
わたしはこんなに汚れてますよ、それを解って触れていますか?って蟲が這うんだ。
知られたくないよ。
言いたくても言えないよ。
掻き毟った体は疼き首筋の包帯はもう意味をなさないままで、わたしの全身がむず痒い。
こんな筈じゃなかった。
抜け出した世界で笑って生きてやるんだって、そう思ったよ。
だけど、汚いわたしを綺麗に見られる事がこんなに苦しい。
出来るなら、真っ白なままで出逢いたかった。
こんなわたしを連れてってくれて、助けてくれるなんて、優しすぎるんだよ。温かすぎるんだよ。
そんな資格なんてないのに、頼り、縋ってしまう。
木の幹に手をつきゆっくりと座り込みポケットを弄って、この痛みと蟲よ鎮れと鎮静剤の針を刺す。
憧れ、希望、夢、飛翔。
挫折、幻滅、闇、堕落。
みんなは変わらない目で見てくれんの?
菩薩……、背中くらい押してよ。
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