流されてみるのもいい

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掻き毟った傷が痛んだけど、三蔵の唇に触れられると何故か痛みがとれていく。



抱き締められれば心の痛みがとれていく。




「お前を置いて行ったりしねぇよ」



耳元ではっきりと聞こえる三蔵の声は、わたしを上へ上へと導いてくれる。



あの頃は針ほどしか無かった光は徐々に近く大きくなって、その余りの眩しさを感じたら泣けてきた。



「……ありがとう、三蔵」


這い上がらせてくれて。
引っ張り出してくれて。


ありがとう、三蔵。




どの位そうしていたのか解らないが、不意にドアがノックされ、わたしと三蔵は名残惜しさを感じながらもドアを開けた。


「……何の用だ?」


ドアの前には三人の姿があり、悟空が泣きそうな顔をしている。

わたしがそんな悟空を見ていると、八戒は苦笑しながら此処に来た理由を説明し始めた。


「先ほどなまえが出ていくのを窓から見たと、悟空と悟浄が僕の部屋を訪ねて来ましてね……」


そこまで話した八戒は語尾を濁し、三蔵を意味ありげに見やる。


「……何だ?その目は?」


八戒だけでは無く、悟浄や悟空も三蔵をジッと見ている事に気づいたわたしは一瞬で悟った。


三人は三蔵とわたしが手を繋いで帰って来たところも見たんだと……。

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